「開かずの踏切」対策必要 JR南武線尻手−武蔵小杉を立体交差に

「開かずの踏切」対策必要 JR南武線尻手−武蔵小杉を立体交差に

 川崎市は市内を縦断するJR南武線尻手−武蔵小杉間の連続立体交差化に向けて事業調査を行っている。区域には1時間に40分以上が閉まっている「開かずの踏切」など国土交通省が緊急対策踏切と指定した七つの踏切があり、道路の混雑や地域分断などを起こしている。市は早急な整備が求められている「最重要課題」とし、事業を紹介するパンフレットを発行したほか、27日に対象地域の測量に向けて説明会を同市立橘高校(中原区)で開くなど市民の理解浸透に努めている。

 調査区間は両駅間5・5キロのうち市内の4・5キロで、この間には「開かずの踏切」や1日の自動車遮断量が5万台以上の「自動車ボトルネック踏切」の計7カ所を含む九つの踏切がある。

 特に平間駅前(1時間に最大51分遮断)や鹿島田(同44分遮断)の踏切は周辺を含めた道路渋滞の原因となっている。過去の6年間に6件の踏切死亡事故も発生し、路線バスの運行などにも影響している。周辺には同市立下沼部小学校など九つの学校があり、踏切を横断して登下校する児童は1日435人に上り、その安全が懸念されている。

 このため市は連続立体交差化を検討。その前例となっているのが1996年に高架化した武蔵小杉−武蔵溝ノ口間の1期工事で、この工事では丸子茅ケ崎線など12の踏切をなくしたほか、保育園や駐輪場、駅前ロータリーの整備などJRと連携した街づくりも行っている。

 南武線の未高架区間については5万5千人の署名の請願を受け、2008年に「川崎南部地域交通基盤あり方検討委員会」が推進を提言した。13年には「市総合都市交通計画」を策定し10年以内の着手を目指す事業に位置づけた。

 市は、来年3月までに地質調査や測量、基本設計などを終わらせ、18年度までの都市計画決定を目指し、19年にも事業着手したい考えだ。

 ただ、矢向−尻手間約1キロは横浜市域で、同市は相鉄線の連続立体交差化などを進めており、南武線については事業調査は未着手のままだ。パンフ(4千部)発行には推進への機運盛り上げの期待も込められており、川崎市企画課は「横浜市との連携協力は確認している。1期工事では、線路の切り替えまで15〜16年かかり、周辺道路整備も含めると20年かかった。その間に横浜でも事業が進むことを期待している」と話している。

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