いよいよ6日夜に迫ったアメリカ中間選挙。勝つのは共和党支持者の結束か、民主党支持者の結束か

2018年最大の政治イベントともいうべきアメリカ中間選挙が日本時間の本日6日夜に迫ってきました。今回の記事では、「支持者の結束」という観点から、アメリカ中間選挙の争点を解説したいと思います。

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アメリカ中間選挙が重要な理由

日本では衆議院総選挙が重要な位置を占めています。その最大の理由は、衆議院総選挙で過半数を占めた党派が内閣総理大臣を指名するからです。すなわち衆議院総選挙は「政権選択の選挙」と考えられているのです。一方で、アメリカでは大統領と議会とは異なる選挙で選出されます。トランプ政権が打ち出す政策ばかりが注目を集めていますが、そもそも法律を立案、成立させるのは議会の役割です。トランプ大統領が特定の政策を望んでも、議会が法案を成立させなければ政策は実現しないのです。
現在は、大統領と上院、下院の多数派を全て共和党が占めています。トランプ政権からすれば比較的立法による政策実現をしやすい状況と言えるでしょう。そのため、議会の構成がどうなるかはトランプ政権からすればとても重要なのです。
一方で、もし民主党が上院と下院で過半数を獲得すれば、トランプ政権と議会民主党との政策はより異なるので、トランプ政権は民主党の意向を無視した政策をほとんど実現できなくなります。日本で言うねじれ国会(衆議院と参議院の多数派が異なる状態)をより強化した状態と言えるでしょう。

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トランプ政権の下での共和党の結束と民主党の結束

別の記事で指摘したように、現在共和党はトランプ大統領のもとで結束しつつあります。従来からの共和党支持者である社会・文化の点において保守的な思想を持つ人の支持を集めたほか、新たに自由貿易に反発する層の支持を巧みに取り込むことに成功しています。ウォールストリートジャーナルなどの調査によれば、かつて選挙に対する共和党支持者の関心はかつて民主党支持者を大きく下回っていましたが、投票後には共和党支持者の68%、民主党支持者の72%が、選挙に強い関心があると答えました。中間選挙に関する調査ではそれぞれ過去最高となっているといいます。また、「トランプ本人は好きではないが、彼の政策を支持する」という層が共和党支持者の中で拡大しているのです。トランプ大統領は最近でも中距離核戦力全廃条約の廃棄を訴えるなど、共和党支持者へのアピールを続けています。

一方で、そのことは、民主党支持者を結束させることにも成功しています。とりわけ、トランプ大統領と共和党議員が、過去に女性を暴行したという疑惑を持つカヴァノー氏の最高裁判事指名承認を強力に推進したことは、共和党支持者を満足させた一方で、民主党支持者の反発を買いました。もともと、民主党支持者の間では、オバマ政権の政策を支持するかどうかで大きな対立があります。また、民主党は支持しても投票に行かない層がいます。しかし、トランプ政権への反発が強まった結果、より積極的に民主党候補を支持し投票するという姿勢が強まっているのです。その結果、より多くの選挙区で今回11月の選挙において共和党候補と民主党候補が接戦を演じるであろうという議論が最近台頭しています。また、政治資金という点においても、共和党議員が現在議席を有する選挙区において、民主党候補は現職の共和党議員に迫る多くの政治資金獲得に成功しています。

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まとめ―トランプ政権は共和党と民主党、どちらを結束させたのか?

トランプ政権は、共和党支持者と民主党支持者のどちらを結束させることに成功するのでしょうか。その結果は、今回11月の中間選挙によって明らかになるといえそうです。仮にトランプ政権にとって十分な結果が得られれば、今後も共和党支持者へのアピールとそれによる結束は続くといえそうです。もし、そのような結果が得られなければ、路線の修正を迫られることになるでしょう。

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