怒りの炎

 多かれ少なかれ、カーッと怒りの火がつくときは誰にでもあるはずだが、そのカーッとなる間は6秒間がピークという。近ごろたまに見聞きする「アンガーマネジメント」とは、怒りとの付き合い方を指し、6秒間を上手にやり過ごすのがポイントらしい▲ゆっくり大きく呼吸して6秒間待ったりと、やり方はいろいろある。とは言っても、ひっきりなしに怒りをあおられては、やり過ごすのも忘れてしまうだろう。米国は、どうやら多くの国民がそんな状態にある▲6日の中間選挙を前に、米国では共和党と民主党、それぞれの大物や支持者が相手の党に怒りの炎を燃やし、大変な盛り上がりだったという。例えばトランプ大統領は民主党の支持者を「暴徒」と呼んで敵視する▲トランプ氏は、オバマ前大統領が掲げた政策の多くを「無し」にしてきた。よほど頭にきたらしく、オバマ氏はやり返す。共和党政権下で「政治家はうそばかりつく」と▲分断が深まったように見えるばかりか、政治家が国民の怒りをたきつけるさまは、遠くから見ていてどうも危うい感じがする▲国内に目を移せば、臨時国会が論戦のさなかにある。あおられず、国民が政治に不満を言い、時に怒りをぶつけるのはむしろ必要なことだろう。6秒と言わず大きく呼吸し、熟考して物申したい。(徹)

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