金属行人(11月6日付)

 11月は素形材産業の重要性を社会全般に広くアピールする「素形材月間」。先月末から関連団体による記念行事が始まっており、先週末には中核行事の素形材月間記念式典が都内で開催され、来月上旬まで記念行事が随時開催される▼「素形材」は鋳造・鍛造・ダイカスト・金型・熱処理・金属プレス・粉末冶金など加工技術によって製造される部品の総称で、あらゆる機械工業の根幹を支えている。高精度、高品質の日本製品を生み出す基盤産業だが、黒子役に徹することが多く、なかなか日の当たりにくい産業という宿命がある▼技術・技能を継承する人材育成の環境づくりや、一般の人々に理解を深めてもらうために広くアピールする必要があるとして、経済産業省や素形材センターが主導して、毎年11月を素形材月間に定めたのは1995年度のこと。以来、関連団体が表彰式、セミナーなどイベントを11月に集中開催するようになった▼先週末の式典では、臭気と煙のないアルミ鋳造工場で高熱効率の車用エンジン部品を量産する技術や、3Dプリンタ砂型を鋳鉄鋳鋼品に適用した最新技術などが表彰された。世界最先端を行く素形材産業の現状が広く社会一般に知られることを切に願いたい。

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