スバル、国内車両約10万台にリコール実施 | インプレッサやトヨタ 86含む9車種が対象、費用は65億円に

株式会社SUBARU

スバルは、2018年1月9日~同年10月26日にかけて同社が生産した日本国内向け車両約10万台にリコールを実施すると発表した。

対象車種は、同社のインプレッサや、トヨタに供給している86などを含む全9車種。

これにより、同社の完成検査での不適切事案に関する累計リコール台数は約53万台にまでのぼる。届け出は同年11月8日の予定。

今回のリコール実施に至った経緯

スバル インプレッサ(インプレッサスポーツ2.0i-L アイサイト・2016年10月発売)

スバルは、2017年10月以降に判明した完成検査工程における不適切な取扱いに関し、国土交通省からの指示に基づき、社外の専門調査チームによる調査を行った。

また、その際に提出した調査報告書に基づき、不適切な完成検査の取扱いが2017年12月末日まで行われたと判断したことから、対象となる約6千台について2018年10月11日にリコール実施を届け出た。

その後、2018年10月16日以降に国交省の立入検査が実施されたが、その後改めて確認を行った結果、駐車ブレーキ制動力の検査中にブレーキペダルを踏む行為等の不適切行為に関する終期について、報告書作成時に把握された供述と一部不整合な内容が存在することが判明した。

一方、社外の専門調査チームによって把握されていたものの、同チームの判断により報告書には記載しなかった不適切な可能性のある行為の存在について、スバルは国交省にリコールの是非及びその理由について説明するよう指摘を受けていた。

上記理由により、2017年12月以降に生産された車両についても完成検査工程が不適切であった可能性を完全には否定できないと判断。

検査工程の健全性を確認できた日までの期間(2018年1月9日~同年10月26日)に生産されたものに2018年10月11日に届出たものと同等のリコールを実施することを決めた。

同社は、今回の追加リコールに関わる費用として約65億円を見込んでいる。

再発防止に向けた同社の対応

また、同社は再発防止策として、既に公表していた下記6項目を含む以下の緊急対策を実施。

1. ブレーキ検査装置(テスター)のプログラムの改修

・ギアをドライブ(Dレンジ)に入れたまま検査を行うことを不可能とする。

・駐車ブレーキと主ブレーキ(前輪・後輪)を同時に操作した場合、自動的に検査無効とする等。

2. ブレーキ検査装置(テスター)に「輪止め」を設置

報告書で検査員が不適切行為の動機だと証言したとされる「テスター上で車両姿勢が変動する結果、ブレーキ検査結果が不安定になる」という現象の発生を止める。

3. サイドスリップテスタの通過速度に関わる検査規格の見直し

遵守が容易ではなく過剰であった規定の見直しを図り、検査の有効性を維持しつつ真に有意で遵守可能なクリープ速度程度の規格に改定。

4. 監視・相談員の配置

検査員の作業を監視するとともに、検査員が疑問に感じた時すぐに相談に乗れるよう、熟練検査員を「監視・相談員」として検査ラインに配置。

5. 欠品車両および車両滞留時の措置

バンパーフェイスに限らず、一つでも部品が欠品した車両の完成検査工程投入を禁止。また、完成検査工程で車両が滞留した際は生産ラインを一時停止し、検査業務に支障を与えないことを徹底する旨、製造本部長名で通達。

6. 再教育の実施

早番勤務・遅番勤務それぞれについて1時間生産ラインを停止して、標準作業遵守の重要性について教育を実施。座学ではなく、実際に検査ライン上で標準作業手順を確認し、国交省立入検査等での指摘事項も確認。教育後、検査員の理解と自覚も確認。

なお同年11月2日には再度終日生産ラインを停止し、10月29日以降一切の不適切行為が発生していないことが改めて確認されている。

今後、同社は既に公表している再発防止策を順次実行し、かつ検査員の負荷軽減につながる以下のような施策を優先的に実施する方針。

・経年化し、作業負荷のある検査設備の更新・修繕・補強

・標準作業遵守をより容易にするような検査設備の改良(自動化を含む)

・検査員の人員増強、個々の検査員の適性を踏まえた配置見直し

・人員増強とセットで実施する検査工程の見直し、工数計算の適正化

・適正かつ整合性の取れた社内規程の再整備

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