フィリーズのリアルミュート獲得はアルファーロの成長次第か

来季のフィリーズのレギュラー陣のうち、確実なのはリーズ・ホスキンスが一塁または左翼でレギュラーを務めるということだけだろう。守備が劣化しているオドゥベル・ヘレーラが引き続きセンターを守る保証はないし、正二塁手のセザー・ヘルナンデスはトレードで放出される可能性もある。そんななかでレギュラーでの起用が有力視されるのが若手捕手のホルヘ・アルファーロだが、トレード市場にはJ.T.リアルミュート(マーリンズ)という好捕手がいる。フィリーズがリアルミュートの獲得に動く可能性はあるのだろうか。

現在27歳のリアルミュートは、走攻守のバランスが取れた球界有数の好捕手である。今季は打率.277、21本塁打、74打点、OPS.825という自己最高の打撃成績をマークし、WAR4.8は規定打席以上の140人のなかで25位にランクイン。Statcastのデータによると、送球のスピードは捕手ではメジャー3位、走塁のスピードは捕手でメジャー2位にランクインしており、大きな弱点が見当たらない。

フィリーズは夏場にリアルミュートとアルファーロのトレードを仕掛けるチャンスがあったものの、より長く保有できるアルファーロの放出を躊躇し、リアルミュートの獲得には動かず。しかし、今季は終盤戦までポストシーズン進出の可能性を残し、再建が終わりに近付いていることを感じさせた。このタイミングでフィリーズが将来を多少犠牲にしてでも目の前の勝利を優先する可能性はある。

ただし、アルファーロがリアルミュートに大きく見劣りするわけではないのも事実である。打率.262、10本塁打、37打点、OPS.731という数字は捕手としては決して悪いものではないし、Statcastのデータでは送球スピードで捕手1位、走塁スピードで捕手2位にランクイン。フレーミング技術についてはアルファーロがリアルミュートを大きく上回っているというデータもある。

リアルミュートと違ってアルファーロは打撃の確実性が低いという大きな欠点を抱えているものの、この点さえ克服できればアルファーロを放出してまでリアルミュートの獲得に動く理由はない。マーリンズがリアルミュートの対価として極めて豪華なパッケージを要求していることを考えると、フィリーズはリアルミュートの獲得には動かず、アルファーロを正捕手に据えて来季以降の戦いに臨むことになるのではないだろうか。

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