米軍施設返還、横浜市「うれしい」 逗子市は慎重姿勢

 米軍根岸住宅地区(横浜市)の返還に向けた動きが表面化したことを受け、同市の林文子市長は6日の定例会見で「一日も早い返還を願ってきた。大きな節目になる」と述べ、早期実現に期待を寄せた。一方、米軍関係者向け新施設の整備方針が浮上した逗子市は「国にきちんとした対応を求める」と慎重姿勢を堅持。日米合意から14年ぶりに示される基地負担の新たな計画を巡り、関係自治体の動向が注目される。

 関係者によると、日米両政府は近く開催する日米合同委員会で、根岸住宅について返還を前提に「日米共同使用」の協議を始め、返還の条件としてきた米軍池子住宅地区(横浜、逗子市)の横浜市域での建設は取りやめる方向で合意するとみられる。

 池子住宅の逗子市域に生活支援施設を、横須賀基地(横須賀市)に独身者向け下士官宿舎をそれぞれ整備するなど、新たな施設計画も示される見通しという。

 林市長は「国から正式に聞いていない。引き続き情報収集に努める」としながらも、「(報道が事実であれば)うれしい」と強調。2004年の返還合意後も進展がなかった十数年を振り返り、「地元の方々は本当に苦労したと思う。歴代市長や戦後長いこと苦労した皆さんへの思いが一段と深くなってきた」とも述べた。

 一方、逗子市の平井竜一市長は「詳細が分からないため、現段階でコメントすることは難しい。国に対してきちんとした対応を求めていきたい」などとコメント、近く南関東防衛局から説明を受ける考えを示した。横須賀市幹部は「言う立場にはない」とした。会見で問われた黒岩祐治知事も「事実関係を把握していない。情報収集に努めるとともに、早期返還をしっかりと働き掛けていきたい」と述べるにとどめた。

日米で返還が合意されている米軍根岸住宅地区=2010年10月

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