崎原さん(長崎国際大3年)自転車で日本縦断 広島、北海道 被災地でボランティアも

 長崎県佐世保市の長崎国際大人間社会学部3年、崎原優乃介さん(22)はこの夏、佐世保から北海道まで自転車で「日本縦断」を達成した。道中では西日本豪雨や北海道地震の被災地でボランティアに励んだ。しかし、「今年はまだ半分」と崎原さん。来年は北海道からスタートして日本海側から戻り「日本一周を完結したい」と力を込める。

 全国を歩いて巡った吉田松陰の足跡をたどる目的だった。若くして日本を変えようと志した松陰に憧れ、踏破した道のりを“体感”して彼の行動力や考え方に迫りたい-。そんな決意を胸に8月8日に大学を出発した。

 まずは西日本豪雨の被災地、岡山県真備町を目指した。同じく被災地のボランティアに向かっていた旅人と出会い、広島市安芸区にも立ち寄った。

 ここでは民家の下に流れ込んだ土砂を取り除く作業に1週間取り組んだ。ほふく前進で床下にもぐり、泥をかきだす作業にも慣れた。真備町でも同じ作業を繰り返した。発生から1カ月たっていたが、倒壊したままの家屋も多く、復旧が進まない現状を目の当たりにした。

 旅の途中、目的地の北海道で地震が発生した。すぐに駆け付けるか悩んだ。しかし当初の目的を達成しようと思い、自転車の旅を続けた。9月22日に北海道安平(あびら)町に到着。4日間ボランティア活動に加わった。家屋倒壊は少なかったものの、どこも家具が散乱し、住める状態ではなかった。主にその片付けを手伝った。

 出発前には「自転車を押して歩かない」と決めていた。きつい峠に何度も出くわしたが、歯を食いしばった。当初は1日120キロのペースだったが、終盤は180キロにまで伸びた。「自分の弱さを克服できた」と振り返る。

 北海道では余震が続く中、現地の人から「次は町の元気な姿を見に来てほしい」と声を掛けられた。崎原さんは「これまで多くの人から支援を受けたので、今度はこちらが誰かに『恩贈り』をする番だと思いボランティアに取り組んでいる。来年も北海道に行ってスタートし、日本一周を果たしたい」と語った。

ボランティアをしながら自転車で日本を縦断した崎原さん=茨城県龍ケ崎市(崎原さん提供)
豪雨災害で倒壊した家屋=広島市安芸区(崎原さん提供)

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