日本代表、森保監督の会見全文!明かされたのは“融合”の戦略

7日、日本代表と東京五輪世代のU-21代表を兼任する森保一監督は、国際親善試合とUAE遠征に向けたメンバーを発表した。

今回はその代表メンバー発表会見の全文をお届け。

海外の日本代表最新情報、Jリーグ超ゴールはこちら

森保一監督

皆さん、こんにちは。今日はお忙しいなかA代表、東京五輪世代であるU-21代表のメンバー発表に集まっていただきありがとうございました。

今回、A代表のキリンチャレンジカップとU-21代表のUAE遠征を同時に行います。私はA代表のほうで、U-21代表のUAE遠征には横内(昭展)コーチに監督として指揮を取ってもらいたいと思います。

同時に2つの活動することになりますが、横内コーチとはこれまでも長く仕事をしており、意思疎通は取れていると思いますし、常に同じ絵をえがきながら我々は進んできているので、この2つの活動がこれからに向けて成長に繋がる良い経験ができると思っています。

A代表のキリンチャレンジカップについては、ベネズエラ戦、キルギス戦と2試合ありますが、これまで通りまずは勝ちにこだわっていくこと。チームとしての戦術浸透をさらに深めていく、また個々の力をより高めていけるように、そして初招集の選手の力をこのグループのなかで見ていきたいと思っています。

U-21代表の活動に関して、私は直接行きませんが、横内監督が指揮を取ることは全て「私と同じ」だと思っています。横内コーチが言っていることは私が言っていることと同じだと自信を持ってやっていただけると。選手にも(各世代の代表が)同じ方向に向かっているということで、ベストを尽くしてもらいたいと思います。

A代表もアンダー世代の活動も「融合」と考えています。今回は、A代表での経験をした伊藤達哉がUAE遠征のほうに加わるということ、そしてU-19のアジア選手権で活躍した選手たちが、一つ上の東京五輪世代のチームに入ってきてくれること、そこで各世代の融合を図るということ。A代表を経験した選手がどういうことを経験したか、東京五輪世代の選手たちに伝わると思いますしそういう浸透が図れればと思っています。

日本サッカー界としても、U-19の世代、A代表と東京五輪が繋がることによって、全体の融合、レベルアップに繋がっていく良い機会だと思っております。以上です。

Q: A代表のコーチに斉藤俊秀(U-16コーチ)さんと秋葉忠(U-19コーチ)さんが入っているが、その経緯や期待することは?また、兼任ならではの選考で苦労したことや新しい発想、選考過程で思ったことがあれば。

コーチのスタッフ編成ですが、これからずっとこのような形になるかどうかは分かりませんけど、暫定ということでこの2つの活動をするにあたって、各世代のU-19、U-16の選手権に行った影山ジャパンのコーチ、森山ジャパンのコーチにサポートしていただき、A代表の活動をしていければと思っています。

その活動のなかで我々がやっていることを各世代の代表コーチたちに分かってもらって、経験してもらうことで、また影山ジャパン、森山ジャパンに戻った時にいろんな部分で共通認識を持てればと思っております。

全てのチームが同じ、コピーしたようなチームではないとは思いますが、どの世代の代表のチームも、日本代表として誇りを持って、日本人の良さを持って戦えるようにという想いを持っているはず。そういう意味で、選手だけではなくスタッフも共通認識することで、各世代の融合ができればと思っています。

選手選考は毎回、難しいと思っています。今回もフィールドプレイヤー20人、GK3人ということですけど、もっと多くの候補がいて(その中から)絞ってチームの活動をしなければいけない。できればもっと多くの選手を呼んで活動することができればという想いは持っていますので、日本代表を目指している、力になりたいと思っている選手たちを招集できないことは、難しさという部分で感じています。

東京五輪世代の選手をどうやってA代表のほうに引き上げて経験してもらうか。彼らの力を見つつどういう環境作りをしたらいいかということは、コーチも含めて皆いろんな考えを持ちながら何がベストかということを考えてやっていく難しさはあるかと思います。

Q:今回A代表は2人の初招集がいますが、それぞれどういう点を買われてどういう期待をしているのか。また、アジアカップ前で最後の活動になるが、アジアカップを見据えたうえで重要なテーマがあれば。

A代表初招集の2人に関してですが、クラブで継続して出場している、特徴を発揮している選手かなと思っています。

鈴木優磨は鹿島というアジア王者を目指す力のあるチームのなかで「得点」という結果も出していますし、前線、FWの選手として存在感を発揮してくれていると思って招集しました。

山中については、マリノスで年間を通して継続して試合に出ている、良いパフォーマンスを出しているということで招集させてもらいました。

まあ、パフォーマンスに波はある選手だと思いますが、スペシャルなものを持っている選手だと思いますし、左利きということを生かしてのプレー、クロスや攻撃に絡むプレーというところは、今回の代表招集に繋がった理由です。

また、このグループのなかで彼らがどういう力を発揮してくれるかというところを見たいので、2人に関しては初招集ですけど、まずは思い切りプレーして自分の個性を発揮してほしいと思っています。

アジアカップに向けては、今回の対戦相手、初戦のベネズエラと、2戦目のキルギスは全く違う戦いになるかなと思っています。

動画を見たい場合はここをタップ!

ベネズエラもキルギスも我々に対してどういう対策をとってくるかはもちろん試合前で分かりませんけども、キルギスに関しては次のアジア大会を見据えた時に「アジアでの戦い」ということを想定できる、そういう試合ができるかなと。まだしっかり分析しているわけではないですけど、全く別な戦いをしていかなければいけないということです。

選手たちはこれまで非常にアグレッシブに、そしてチームとしても個人としても、良いトライはしてくれたと思っています。今回のキリンチャレンジカップでは、アジアとアジア以外の国で別々の戦い方をしなければいけない。対応力を求められるところかと思います。

これまで通り選手にはアグレッシブにプレーしてほしいですが、相手を崩していくために、相手に勝っていくためどういう戦いをしたらいいか、(特にキルギス戦は)アジアカップに向けて良いシミュレーションになるかと思います。

Q:A代表のメンバーは初招集の2人を除くと前回とほぼ一緒だと思うが、このメンバーがアジアカップのコアになるのか?

これまでキリンチャレンジカップで招集させてもらった選手を中心にアジアカップに臨んでいくことは基本的には考えています。

動画を見たい場合はここをタップ!

(一方で)情報は吸い上げていますけど招集していない選手はたくさんいますので、その選手たちがアジアカップに入ってくることも当然、考えながらやっていきたいと思っています。

今回に関してはこのメンバーがベストだろうということで決めました。決めた結果が(前回と)あまり変わらなかったっていうところは…今、言われて気付きました(苦笑)。

Q:U-21の代表について、アジア大会後に「A代表のスタンダードを知った後で五輪代表に落とし込みたい」と話していたが、実際にA代表を指揮して、改めて五輪世代に“落とし込みたい”部分は?

まずは、全てのクオリティを上げることが大切かなと思います。

技術的なクオリティや判断の速さ、的確な判断するというところ。もっと上げていかなければいけないと思いますし、その技術を発揮するために闘う球際の部分、これまで日本代表の指揮した方々が言ってこられたインテンシティ、デュエルの部分でもっと強くやっていく。そこはベースとして持ちながら、西野(朗)さんが言われた通り日本人が持っている技術を発揮していくというところは、東京五輪世代の選手に伝えていければと。

そういった意味で今回、A代表に帯同して9、10月のキリンチャレンジカップを経験したコーチたちがUAE遠征に行って、彼らに感覚的に伝えられるのはチームとしてすごく大きな経験になると思いますし、より高いものを求めていけると思っています。

先ほども言いましたけども、A代表を経験した選手がまたアンダー世代の活動に入っていくということ。そこでまたいろんな部分を東京五輪世代の選手たちには刺激を受けてもらいたいと思いますし、A代表を経験した伊藤達哉に関しては、そこで経験したことをUAEの遠征で発揮してもらいたいと思います。

U-21の活動としては、直近のアジア大会で準優勝することができた。そこは自信を持ってほしいと思いますけど、自信が過信にならないようにもっともっと高めていくことを忘れずに。アンダー世代の代表で満足するのではなく、いつも言っておりますが、東京五輪世代の選手たちは「A代表で活動しながら東京五輪にかかわっていく」という気持ちを強くもってもらいたいと思います。

アジア大会の決勝では韓国に敗れましたが、非常に良い試合をしてくれました。今の彼らが持っている力は100%出し切ってくれたかなと思います。韓国代表は素晴らしいチームでしたが、その戦いを最低限として、さらに高いものを目指してほしいと思います。

あの決勝でのインテンシティ…球際の闘い、粘り強く戦うという部分、本当にベースのところは見せてくれました。(一方で)そこからどれだけ攻撃できたか?というものは満足できないものがありますし、あの激しく厳しい戦いを東京五輪では最低限6試合やって(ようやく)目標とするものが得られる。そこのレベルアップという部分では、厳しい気持ちをもって臨んでほしいと思います。

© 株式会社ファッションニュース通信社