国保未納にAI活用、電話催告を効率化 川崎 政令市で初

 国民健康保険の収納率向上に向け、川崎市は9日から、未納者への電話催告業務に人工知能(AI)を活用する。未納者の属性をもとに電話応答率の最も高い時間帯や、固定電話と携帯電話のどちらが適しているかを予測しリスト化。本人応答率を高めることで、効率的な徴収につなげる。政令市で初の試み。県内自治体でも先例がないという。

 市保険年金課によると、催告業務は市のコールセンターが担当している。国保の滞納が発生すると、リストを基に自動音声やオペレーターによる連絡で未納者に支払いを呼び掛けており、その対象は月約3万8千件に上る。

 未納者のリストは居住地順に表示されるが、応答率は50%程度にとどまっているのが現状だ。そのため、未納者本人と接触するため何度も電話したり、直接訪問したりと非効率的な運用になっていた。

 新たに導入するシステムは、これまでコールセンターで蓄積してきたデータを活用し、性別や家族構成などから未納者の属性をAIが分類。電話に出てもらいやすい時間帯や、携帯電話と固定電話のどちらが応答を見込めるかを瞬時に予測し、効率的な架電を可能にするリストを自動的に作成する。

 市の国保収納率は昨年度86・75%。特に、未払い状態が長期間に及ぶ過年度分に限ると32・15%と急激に落ち込んでおり、同課は「まずは応答率を上げることが第一歩。AI導入の効果を分析し、徴収率向上につなげていきたい」としている。

川崎市役所

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