【きらりと光るわが社の〝得意技〟】〈日東精工〉冷間圧造による異種金属接合技術、各材料の特性を有効活用

 工業用ファスナー大手の日東精工(本社・京都府綾部市、社長・材木正己氏)の「AKROSE(アクローズ)」は、冷間圧造技術を生かした異種金属接合技術だ。

 「AKROSE(アクローズ)」は、同社の強みである冷間圧造技術によって素材を成形した後、その素材同士(複数個)をプレス加工により強固に接合させる技術。鉄・ステンレス・アルミニウム・銅など、冷間圧造が可能な材料の接合が可能で、複数の異種金属材料を接合することができ、各材料の特性(強度・導電性・熱伝導性など)を有効活用することができる。また、冷間圧造技術を用いるため、素材形状のコントロールによって多様で複雑な形態の接合が可能なだけでなく、接合後に二次加工を行うことにより製品の付加価値も向上する。そのほかにも、接合品の密着性の向上、接合部の回り止め強度の向上、環境負荷の低減といった特徴を持つ。

 自動車業界を中心に、特性が異なる金属材料や他の材料を組み合わせて併用するマルチマテリアルが注目され、軽量化や高強度化を背景に需要が高まっている。その中で同社は、工業用ファスナーの製造で培った冷間圧造技術を生かして強固な異種金属接合を行う工法の研究を重ね、今後の異種金属接合の新市場を切り拓く基幹技術として、「AKROSE(アクローズ)」を開発した。同技術を適用した製品は、今月1日より本格的に販売を開始。同社は「自動車やインフラといったさまざまな業界をターゲットに、2020年度に月産100万個の出荷を目指す」としている。

 日東精工は、12月5~7日に幕張メッセ(千葉市)で開催する「第2回接着・接合EXPO」で同技術の各種製品サンプルを初出展する。(綾部 翔悟)

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