1.スタックハイト
ペダルの高さ(厚さ)。スタックが低くなるほど、サドル高(BB ~サドル上面の距離)が下がり、乗車ポジションが低重心となって走行中の安定性が増す。
一方で、ライダーによってはあえてスタックの高いペダルを好む場合もある。
例えば背の低い(股下の短い)ライダーがサドル~ハンドルの落差を出したい(ハンドルを低くしたい)場合などは好例となる。
・スタックハイトが高い
メリット:サドルが上がるため、相対的にハンドル位置が低くなる。
デメリット:サドルが上がるため、重心が高くなる。地面への足付き性が悪くなる。
・スタックハイトが低い
メリット:サドルが下がるため、重心が下がってバイクの挙動が安定しやすい。地面への足付き性が向上する。
デメリット:サドルが下がるので、相対的にハンドル位置が高くなる。低身長の場合はスポーツバイク的なフォームが取りにくくなる場合も。
2.Qファクター
ペダルにおけるQファクターは、クランクへのペダル取り付け面~踏み面のセンターで表される。スポーツバイクではQファクターが狭くなる傾向だが、例えば極端ながに股や、高身長&股下が長い場合は、広いQファクターを好むライダーもいる。
踏み位置の微調整はクリートの装着位置でも調整できるものの、例えばシマノでは、一部グレードのペダルに+ 4㎜軸長の長いバージョンも用意して、多様なライダーに対応している。
・Qファクターが広い
メリット:ガニ股でペダルを踏む際、フレーム(チェーンステー)やクランクにかかとを擦りにくい。
デメリット:左右の足を開いた状態でペダリングをすることになる。
・Qファクターが狭い
メリット:左右の足を閉じた状態でペダリングが可能になる。
デメリット:かかとをフレーム(チェーンステー)やクランクに擦りやすい。
3.フローティング角度
ほとんどのペダルは、シューズ固定後に左右へわずかに角度が変えられるようになっている。
このフリーに動く部分は〝フローティング〞と呼ばれる。適度にフローティングさせることで、ペダリング中の膝や足首がねじれることによるストレスを緩和させる効果が得られる。
ペダルによってはフローティングのない固定モードも選択可能で、より高いペダリング効率を実現しやすい場合もある。
・フローティング角度が大きい
メリット:足をこじるような動きをしても、膝や足首関節に負担が掛かりにくい。クリートの取り付け角度が厳密でなくても不快になりにくい。
デメリット:ついつい足をこじるようにペダリングをしてしまうことも。
・フローティング角度が小さい
(もしくはフローティングしない)
メリット:足の角度が常に一定の、美しいペダリングを実現しやすい。
デメリット:ペダリング時に足をこじるような動きが発生してしまうライダーにとっては、膝などの関節痛を引き起こす可能性が高まる。クリートの取り付け角度調整がシビアになる。
4.リリース角度
かかとを外側へと大きくツイストさせることで、ビンディングペダルはリリースされる。
そのときの角度(リリース角度)が大きいと、ライダーには大きなアクションが求められる。
一方で、小さなリリース角でも外れると、ダンシングやスプリントなどでバイクを左右に振った際、不用意に外れかねないと感じるライダーもいる。
編集部ではレーザーを使い、各ビンディングペダルのリリース角度を実測した。
・リリース角が大きい
メリット:乱暴なペダリング(例えばダンシングでのスプリントなど)をしても、ペダルが外れにくい。
デメリット:足を大きく動かさないとペダルがリリースされない。
・リリース角が小さい
メリット:少しのアクションでペダルが外れるので、街乗りなどで安心。
デメリット:クリートが摩耗すると、ペダルが外れやすくなりすぎる。
5.リリーススプリング テンション
クリートの固定力を保持しているのがスプリング。初心者やツーリストでは、柔らかいスプリングですぐにシューズをリリースできる方が、足つき性が向上して安心できるだろう。
一方で乗り込んでいるライダーの中には、ある程度スプリングテンションが硬くないと、ダンシングで外れてしまいそうになって怖いと感じる人もいる。かかと部分にウエイトを下げることで、何㎏でリリースされるかを実測した。
・スプリングテンションが強い
メリット:ゴールスプリントなどでゴリゴリもがいても、足がペダル上でぶれにくい。
デメリット:とっさのときに足を外しにくくなる。
・スプリングテンションが弱い
メリット:小さな力でリリースできるので、立ちゴケしにくくなる。
デメリット:ダンシングでバイクを大きく左右に振るような動きをすると、ペダルが外れそうになる。
6.クリート調整幅
シューズのソールへと取り付ける部品は〝クリート〞と呼ばれる。
このクリートの固定位置によって、ペダルを踏む足の位置が決まることになる。
クリートの調整範囲の広さは、そのままポジション調整範囲の広狭を決めることとなる。
ただし、クリート固定位置はクリートだけで決まるものではなく、シューズとの相性が影響する場合もあることを留意しておきたい。
7.重量
『軽いは偉い』がスポーツバイクの世界。
重量が軽いにこしたことはないのだが、ペダルに関していえばポジションや着脱の具合などが優先されることになる。
どんなに軽くても、好みのフィーリングが得られなければ意味がない。
8.ロード クリアランス
コーナリングなどで、バイクをどれだけ傾けられるかを表したもの。
ペダルの横への張り出しが大きく厚くなるほどロードクリアランスは小さくなってしまい、コーナー立ち上がりのペダリング開始時に内側ペダルの先端を地面に擦りやすくなってしまう。
クリテリウムなど、コーナリングが勝負を左右するようなレースでは重要視される一方、ツーリングやトレーニング目的の場合はほぼ無視される。
9.プラット フォーム幅
ペダルボディの、クリートを支えるエリアの幅。
プラットフォームが広いほど、大きな面でクリートを保持することになり、ライダーの踏力をソール全体で受け止めやすくなるとされる。
ただし、プラットフォームを大きくすると、ペダルの絶対幅が増えてしまい、結果としてロードクリアランスを狭めることになりかねないので、メーカーとしてもそれらのバランスに苦慮することになる。
10.ベアリング サポート幅
ペダルのアクスルとペダルボディの間には、複数のベアリングが設けられている。
その軸受けサポート幅が広いほど、ダンシングのときなどに発生しがちな斜めの力に対して軸受けがたわみにくくなる。