田島ハルコ - 今は当事者として女性をエンパワメントしていきたい

マスタリングはヒット曲を学習した人工知能

──今回のアルバムは楽曲制作に関わる部分を全てご自身でされたということですが、完成されていかがでしたか?

田島:制作に関してはミックスまで自分ですが、マスタリングだけ人工知能っていうか…。

──?!

田島:LANDRっていう、曲を取り込んでマスタリングしてくれるサービスがあるんです。ミックスが苦手で、何パターンか作っていろいろ試したいんですけど、このサービスはそういうやり方に合っているので利用しました。

──そんなサービスがあるなんて知らなかったです。アーティストの皆さんは結構使われているんですか?

田島:海外のサービスで、日本ではまだそんなに浸透していないのかな…。人工知能がヒット曲を学習してやってるっぽくて、今っぽい質感になったと思います。

──未来感というか、アルバムのコンセプトにもリンクしている気がします。

田島:そうですね。90年代や00年代のリバイバル的なエッセンスも取り入れているから、バランスとしても面白いし。

──時間的にはどれくらいかけて作られたアルバムになるんでしょうか?

田島:アルバムにしよう! ってなってからは半年くらいですかね。最初はダラダラしつつ煮込んでた感じで(笑)、トラックだけあるけど完成してないものが結構残ってしまって、結局最後の1ヶ月弱くらいでまとめ上げました。

田島ハルコ最新アルバム「聖聖聖聖」のキャッチコピー

「人類のワックな所業を56億7千万年後から嘆くlilブッダ(a.k.a弥勒)に成り代わり、ニューウェーブ・ギャルかつ都市型の巫女である田島ハルコが、(自らを含む)愚かな人類に伝えるメッセージソング13曲」。

──かなり特徴的なコンセプトがあった上で非常にまとまりを感じますが、どういうプロセスで練られたのでしょうか?

田島:「ピンク聖」を作った時に、既に「聖」を4つ並べたアルバムを出したてそれを「セイントフォー」って読ませようって思ってて…(笑)。実は「次のアルバム”聖聖聖聖”にしよう」っていうのはだいぶ前にツイートしてるんです。読み方は「セイントフォー」じゃなくて「ひじりひじりひじりひじり」になりましたが…。

──ツイートしたり口に出したりして初めてしっくりきたりこなかったりが分かるときってありますよね(笑)。

田島:自分の中で違うってなったらすぐ消すし、そういう誠実さは全然無いです(笑)。でも、「いいね」的な温度感ってかなり直感的だから信用できる反応なのかもしれない。

──序盤は壮大に始まりますが、「奇跡コントローラー」で“田島ハルコ”の方から一段下がってきてくれたと感じました。で「バイブスの大洪水」でぶち上がって、楽曲的にはその後イルでドープなサウンドにクールダウンしていき、ラストはレゲエ調にチル…というまとまりを感じて聴きやすかったです。

田島:本当ですか。なんか一回聴いたらもう聴きたくない…ってなっちゃわないかなって思って(笑)。長いアルバムだから、疲れさせないような曲順とかはかなり意識しましたが。

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