ゲーム依存

 ネットに接続するオンラインゲームにはまってしまった中学生。学校に行かず、食事の時間も惜しんで1日12時間以上も遊ぶ生活になった。体力が低下し栄養失調状態に陥ったが、それでもゲームから離れられない▲長崎市で先日開催されたネット依存に関する講演会で紹介された事例の一つ。元気いっぱいの年頃の子どもが部屋に閉じこもる姿を想像して痛々しさを感じる人もいるだろう▲ゲームにのめり込む若者の増加は世界各国で社会問題化している。世界保健機関(WHO)は今年、ゲームをやりたい衝動を抑えられず日常生活に破綻をきたす「ゲーム障害」を、疾病の一つとして新たに認定した▲スマートフォンなどのオンラインゲームは市場規模が年々拡大している成長産業。だが負の側面への対策が遅れていると、依存症の専門家は指摘する▲特に現実世界で対人関係につまずきやすいタイプの子が、ネットを通して他者とつながるオンラインゲームにはまる傾向があるという。唯一の心のよりどころであれば取り上げるという荒療治は難しい▲まずは、子どもが誰かとのつながりを実感できる場が、現実社会の中になければならないだろう。家庭でも学校でもそれ以外でもいい。楽しい時間は、ゲームをしていなくても過ごせる-そう思える居場所が。(泉)

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