休止中の中学校給食、「自校方式」で再開調整 大磯町

 昨年10月から神奈川県大磯町立中学校の給食が休止している問題で、同町の保護者や学校関係者らでつくる検討会は12日、2回目の会合を開き、給食再開の実施方式について学校内の調理場から配膳する「自校方式」の採用を軸に調整する方針を決めた。ただ、学校敷地内で調理場を建設するには安全性の確保や周辺住民との調整など課題も多く、実現に向けて難航も予想される。また、早急な決定に保護者らも難色を示したことから最終的な結論は来年1月に開く3回目の会合に持ち越した。

 中学校給食を巡っては2016年、工場から配送するデリバリー方式が町内2校でスタートした。だが、昨年9月に食べ残しの多さや異物混入などの問題が発覚し、その後、休止に追い込まれた。町は18年度、再開に向けた実施方式の検討のため、業者に調査を委託。自校方式や共同調理場によるセンター方式などを含めて検討していた。

 この日の会合で、これまで調理場の設置スペース確保が困難とされていた国府中学校について、校舎南側に運動場の観覧席の一部を撤去する形で建設する案を業者側が提示した。一方で大磯中学校でも現在の駐車場と体育倉庫を調理場に建て替える案を示した。

 また、自校方式とセンター方式について必要経費も算出。中学校2校の自校方式では建設費と今後30年間の維持費を含め約30億円と試算。一方、1日900食を調理、配送するセンター方式での経費は56億円となり、自校方式よりもコストが高くなるとした。

 これまで保護者が自校方式を望んできた経緯もあり、「自校方式で再開という方針で結論を探っていく」(栗原匡賢副町長)とした。来年1月の最終結論を経た上で19年度の関連予算計上を目指す。

 町側は最短で3年後の給食再開を目指すが、課題もある。国府中では県の土砂災害警戒区域に指定されている崖の下に調理場が建設されることになり、安全性を確保する必要がある。町は「丈夫な鉄筋コンクリート造にすることで土砂崩れが起きても内部への被害はない」と説明する。

 保護者からは町長選の告示を前日に控えたこの日の会合で最終結論を得ようとしていた町側の姿勢を疑問視する声も聞かれた。

 国府小学校PTAの古川環会長は「スケジュールありきで急いで結論を出す必要はない。温かくておいしい給食のため、保護者の声を広く聞いてほしい」と訴えた。

中学校給食について自校方式を軸に議論を取りまとめることを決めた保護者や学校関係者らの検討会=大磯町保健センター

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