金属行人(11月13日付)

 先月中旬に一時1バレル70ドル台前半で推移した原油価格(WTI先物取引)は足元、同60ドル台前半まで下がってきた。世界経済の減速感から、来年にかけて供給過剰への懸念の声が相次いでいることが要因の一つとみられている▼最近の原油価格は、石油輸出国機構(OPEC)と米国が互いにけん制し合っている状況に大きく左右されてきた。価格を下支えしたいOPECは12月の総会で協調減産を協議する見込み。米国はここ数年シェール開発が活況を呈していたが、米国内の稼働リグ基数は直近数カ月で1千基台後半の横ばい推移。採取した原油を輸送する国内のラインパイプ整備などの問題もあって、石油・天然ガス開発にはやや一服感が出ている▼直近2年間で少しずつ原油価格が戻ってきた影響で、油井管(OCTG)の需要は緩やかながら回復基調にある。特に中近東での旺盛な開発案件はハイエンド品の需要を底上げしており、日本の各ミルはフル生産状況にある▼産油国の協調により原油価格が60~70ドルのレンジで推移すれば、今後も一定量の油井管需要は期待できそう。あとは油井管価格が適正に改定され、各ミルがトラブルなく操業を続けることを願うばかりだ。

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