蒜山|牧歌的だけど登り応えアリ! 3つの日帰り登山コースとグルメ情報 中国地方の名山といえば、日本百名山の大山がよく挙げられますが、その大山の素晴らしい展望が魅力の山々が岡山・蒜山(ひるぜん)にあります。上蒜山・中蒜山・下蒜山の三座からなるこの山は三者三様で登山コースも個性的!ふもとには蒜山高原を携えた牧歌的な山容かと思いきや、登り応えも充分で密かに人気なんです。景色もグルメも楽しめちゃう、蒜山の人気登山コースを紹介します。

大山だけじゃない! 景色やグルメも魅力の蒜山(ひるぜん)

  • 標高: 1202m(上蒜山)
  • 山頂所在地: 岡山県真庭市・鳥取県倉吉市
  • 山系: 大山山系
  • 最高気温(6月-8月): 23.2℃
  • 最低気温(6月-8月): 9.1℃

参考:ヤマレコ
蒜山(ひるぜん)とは岡山県の北西端に連なる「上蒜山」「中蒜山」「下蒜山」の3つを指し、まとめて蒜山三座と呼びます。最も標高の高い上蒜山は大山連峰の東に位置し、二百名山として有名。八合目からの展望は素晴らしく、グルメもいっぱいの蒜山高原や日本百名山である大山(だいせん)の雄大な景色を楽しめることから多くの登山者が訪れます。

大山も拝める素晴らしい展望!

蒜山の登山コースは主に3つで、どのコース上からも素晴らしい展望を楽しめます。山腹に広がるのどかな牧場風景をはじめ、大山から晴れていれば日本海まで望むことが可能。三座をそれぞれ登るのも良いですし、繋げて縦走するのも魅力的。縦走する場合、視界の開ける稜線歩きは気持ちがいいものです。ただし、それぞれが独立峰のようなため、縦走といえどもアップダウンの激しい行程となることを覚悟して挑みましょう。

もっとも多く登られているのは4月~6月ですが、山の稜線付近にブナ林が広がる蒜山では、紅葉の季節には山頂から山腹にかけて色鮮やかに染まります。紅葉のピークとなる11月中上旬~中旬の、山肌一面が燃えるように色づく様はまさに絶景。

注意! 蒜山の道は滑りやすい!

蒜山は火山活動によってできた山であるため、粘土質の黒土で滑りやすいのが特徴。雨のあとは特に注意しながら歩きましょう。滑った際に足をくじかないよう、足首をしっかりとホールドしてくれる登山靴は必須。トレッキングポールやゲイターなどもあると便利ですよ。

どのコースで登る?

上蒜山:

  • 二百名山: 〇
  • コースタイム(往復): 4時間10分
  • 全体の難易度: 登りやすい
  • 登山道の展望: 2~8合目まで
  • 山頂の展望: なし
  • ルート上のトイレ: 全ルートなし
  • 登山口のトイレ: なし
  • 登山口駐車場: 最も大きい

中蒜山:

  • 二百名山: ×
  • コースタイム(往復): 3時間
  • 全体の難易度: 他2つに比べきつい
  • 登山道の展望: 8合目から
  • 山頂の展望: 良い。蒜山高原が望める
  • ルート上のトイレ:
  • 登山口のトイレ: あり
  • 登山口駐車場: 大きい

下蒜山:

  • 二百名山: ×
  • コースタイム(往復): 3時間
  • 全体の難易度: 登りやすい
  • 登山道の展望: 5合目から
  • 山頂の展望: 良い。大山が望める
  • ルート上のトイレ:
  • 登山口のトイレ: あり(向かいの火葬場)
  • 登山口駐車場: 路肩に停めるため他2つに比べ狭い

3コースとも尾根道を行きますが、いずれも標高差は600mほどで、いくつかの急坂を登ります。登山口にトイレなども整備されている中蒜山がメジャーなコースですが、展望のない樹林帯が九合目近くまで続くため中級者以上向き。全くの登山初心者には上・下蒜山がおすすめです。
なお、下蒜山の登山口は駐車台数が20台ほどと少ないため、早目に着くのが吉。また、上蒜山登山口にはトイレなどの設備がないため、あらかじめ道の駅などで済ませてから登山口に向かいましょう。

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【難易度★★☆☆☆】二百名山に登る!上蒜山コース

最初は、初心者にもおすすめの上蒜山コース。紹介するのは山頂までなので、往復するか他のコースと組み合わて山行計画を立てましょう。

上蒜山登山口からの登山コース

  • 距離: 約3.6㎞
  • コースタイム: 約2時間20分
  • 標高差: 約661m
  • 難易度: ★★☆☆☆

参考:ヤマプラ
駐車場(110分)→槍ヶ峯(30分)→上蒜山

駐車場から牧場へ進み、柵を越えて登山開始。駐車場から登山口まで約30分です。

駐車場から200mほど戻って牧場へと進み、その先の牧場の中の柵を越えて行きます。一瞬入っていいのか迷いますが、この柵の中を進んでOK。

牧場の中を通るので、時には牛と遭遇することもあります。驚かさないよう、ゆっくり静かに通り過ぎましょう。

牧草地から樹林帯に入ったかと思うと、二合目までは階段の急登が連続。急登が終われば、あとは視界が開けた気持ちのいい稜線歩きとなります。

八合目からは、眼下に広がる牧歌的な風景や大山の山容を楽しみながら山頂へ向かいます。山頂は残念ながら展望がないため、休憩や昼食を摂るなら1番景色が素晴らしい八合目がおすすめ。または、眺望の良い中蒜山まで行くのも選択肢のひとつ。上蒜山から中蒜山まで約1時間です。

注意!三角点へは藪の中を進みます

山頂とは別に三角点があります。三角点までは地図上では破線になっている難ルート。往復約30分ほどかかるうえ、目線の高さまでのヤブ漕ぎを強いられるので、余力のない場合は無理をしないようにしましょう。

上蒜山登山口へのアクセス

米子自動車道蒜山ICから約5.5kmで上蒜山登山口へ。

公共交通機関でアクセスする場合は、JR中国勝山駅から出ているコミュニティバスで蒜山高原へアクセスできますが、7:12発の1便目でなければ登山は難しいです。 そのため、少なくとも前日には中国勝山駅にいなければなりませんが、駅周辺に宿泊施設がないため車でのアクセスが一般的です。

真庭市コミュニティバス『まにわくん♡』の運行について

※蒜山・久世ルート時刻表参照

【難易度★★☆☆☆】大山を臨む稜線歩き!下蒜山コース

続いて、大山の展望が素晴らしい下蒜山コースの紹介です。こちらも、登りのみの紹介なので他のコースと組み合わせましょう。

下蒜山登山口からの登山コース

  • 距離: 約2.3㎞
  • コースタイム: 約1時間40分
  • 標高差: 約590m
  • 難易度: ★★☆☆☆

参考:ヤマプラ
犬挟峠登山口(100分)→下蒜山

犬挟峠からスタートし、五合目までは急な登りが続き危険な箇所には鎖やロープが設置されていいます。案内板が各所に整備されていて、踏み跡は明瞭なので道迷いの心配などはありません。

登りはひたすら樹林帯が続きます。途中、階段や鎖場が出てくる箇所も。雨の後などは滑りやすいので、慎重に進みましょう。

五合目からは展望がひらけ、景色の良い雲居平からは偽ピークが見えます。 笹の稜線を九十九折に登っていけば偽ピークの九合目に到着。

九合目から山頂手間には最後の急登が待っています。急登をクリアすればベンチのある広々とした山頂です。山頂からは、西を眺めれば左に中蒜山、右奥に上蒜山、さらに奥には大山を望むことができます。三座随一の眺望である下蒜山からは、日本海までも遠望できます。

ここから中蒜山まで100分/3km
ここから上蒜山まで160分/4.7km

下蒜山登山口へのアクセス

米子自動車道蒜山ICから約12kmで犬挟峠へ。

また、休暇村 蒜山高原に宿泊すると、登山口まで送迎をしてくれます。

休暇村 蒜山高原

【難易度★★★☆☆】登り応え重視なら中蒜山コース

最後は、中級者向けの中蒜山コースです。展望のない登山道をひたすら歩くため、登りごたえ抜群。その分、視界が開けた時の感慨もひとしお! こちらも、登りのみの紹介です。

塩釜の冷泉からの登山コース

  • 距離: 約2.8㎞
  • コースタイム: 約1時間40分
  • 標高差: 約617m
  • 難易度: ★★★☆☆

参考:ヤマプラ
塩釜の霊泉(50分)→日留神社(50分)→中蒜山
塩釜の冷泉のあるキャンプ場から登山をスタート。登山口から山頂まで、ほぼ直登で息が切れるほどの急登が続きます。なお、山頂まで休憩できるようなベンチもありません。

(塩釜の冷泉)

塩釜の冷泉は「全国名水百選」に選ばれている名水で、通年水温11度の冷たい水が湧き出ています。もちろん飲用可なので、水筒などに汲んでから出発しましょう。

途中、渡渉箇所もあるので降雨時は特に注意が必要です。登山口から八合目辺りまでは展望がなく、ひたすら急な登りが続きます。

下蒜山との分岐まで来ると急に視界が開け、下蒜山を眺めながら頂上を目指します。山頂からは残念ながら大山を望むことはできませんが、上蒜山や蒜山高原全体ののどかな風景に癒されます。

ここから上蒜山まで60分/1.7km
ここから下蒜山まで100分/3km

塩釜の冷泉へのアクセス

米子自動車道蒜山ICから約10.5kmで塩釜へ。塩釜ロッジにある駐車場(アスファルトではなく丘陵駐車場)に駐車してください。

【難易度★★★★☆】体力アリなら蒜山三座を制覇!

  • 距離: 約10.6㎞
  • コースタイム: 約5時間40分
  • 標高差: 約689m
  • 難易度: ★★★★☆

参考:ヤマプラ
犬挟峠登山口(100分)→下蒜山(100分) →中蒜山(60分)→上蒜山(30分)→槍ヶ峯(80分)→駐車場

笹の生い茂る気持ちの良い稜線は、縦走でしか見れない景色。ただし、縦走といえども3つの独立峰があるイメージに近いため、急で滑りやすい登り下りが続くハードな行程。1日の行動時間が長く、途中に水場もないため、登山に慣れた健脚者向けです。辛い分、歩き終えた時の達成感はすごいので、体力に自信のある人はチャレンジ!

上蒜山から?下蒜山から?どっちがおすすめ?

上・下蒜山どちらからの登山も同じくらい人気がありますが、上蒜山側に下山すれば蒜山高原で観光もできるので下蒜山→上蒜山のルートがおすすめ。 スタートとゴールが異なるため、車に自転車を積んでいって、先に下山口にデポしてくる人も多数います。また、そうでない場合はタクシーを呼び入山口まで戻るのが一般的です。

環境省 蒜山三座縦走コース

落合タクシー・落合観光バス

下山後に立ち寄りたい!グルメも忘れずに

ジャージー牛乳ソフトクリーム

蒜山高原の名物といえば、コクのあるジャージー牛乳です。そのジャージー牛乳を使用したソフトクリームは普通のアイスよりも濃厚で、頑張った登山のご褒美にぴったり!

【ひるぜんジャージーランド】

営業時間:(3月〜12月)9:00〜17:00、(1月〜2月)10:00〜16:00
定休日:(3月〜12月)無休、(1月〜2月)元旦および毎週火曜・水曜日

ひるぜんジャージーランド

【道の駅 風の家】

営業時間:8:30〜16:30
定休日:(4月〜11月)無休、(12~3月)水曜日、3月は第1・2水曜日

道の駅 風の家

【道の駅 蒜山高原】

営業時間:9:00〜17:00
定休日:12月〜3月

道の駅 蒜山高原

ひるぜん焼そば

蒜山高原のローカルフードといえば、ひるぜん焼きそばは外せません。高原キャベツの食感とかしわ肉の旨みと特徴的な甘辛の味噌だれにモチモチの麺が絡んだ濃厚な味わいが評判です。

【ひるぜん焼きそば 粋呑房(すいとんぼう)】

営業時間:11:30~14:30(土・日・祝 11:00~15:00)/17:30~21:00
定休日:火曜日

粋呑房

【高原亭】

営業時間:11:00~14:30/17:00~20:30
定休日:なし

高原亭

【悠悠】

営業時間:11:00~16:00
定休日:月曜日

悠悠

お風呂に行くなら

【蒜山やつか温泉快湯館】

営業時間:10:00~22:00(最終受付 21:30)
定休日:なし

蒜山やつか温泉快湯館

蒜山エリアで登山も観光も楽しもう!

3つの山からなる蒜山は、登山だけでなくグルメや温泉など数多くの魅力がありますね。それぞれの山を手軽に楽しむの良し、稜線歩きが気持ちのいい縦走に挑戦するのもおすすめです。さぁ、蒜山エリアを丸ごと満喫しに出かけましょう!

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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