【アカメ連載②】東京から3万円~で高知遠征!幻の魚を手にするための基本編 日本三大怪魚の一角として、また多くのアングラーの憧れとして夢を魅せ続けてくれるアカメ。かつては情報が出ることのない知られざる釣りでしたが、SNSの発達もあり、情報を得ることが可能になった近年は、以前よりアカメに夢を馳せる釣り人も多くなっています。また公共交通機関の発達により遠征の距離もグッと短くなりました。希少で難しいイメージのあるアカメを釣る手助けとなるコラムをお届けします。

幻の魚アカメに魅せられて

今日本三大怪魚の一種に数えられるアカメという魚をご存知でしょうか?

多くのルアーアングラーから憧れを集め、全国から釣りに訪れる方が絶えないほど。

私自身もそのアカメに魅せられた一人で、15歳の頃より10年間高知に通い続けています。

アカメに魅せられた男 筆者 高田雄介

高田雄介(25)。ライターネーム:ビックリマン高田。ChillTripという怪魚釣りツアーを提供する旅行会社の社員で、Transcendenceで釣具の開発も行うプロアングラー。

今回は自信の経験を活かし、アカメの釣り方を解説させていただきます。

▼前回記事はこちら

【アカメ連載①】アカメ釣りの歴史から読み取る“私たちが守るべきマナー”
近年の“怪魚釣り”ブームにより盛り上がりを見せる高知のアカメ釣り。今こうやって自由にアカメ釣りができる背景には多くの人の努力とアカメへ...

なぜ釣り人はアカメに魅せられるのか?

なぜ県内外の多くの釣り人が時間とお金をかけて高知に訪れ、アカメを追うのでしょうか。そこにはアカメが持つ計り知れない魅力があります。

まずはそのルックス。銀色をまとった重厚なボディに、光を当てるとまるでルビーの様にも見える赤い目、美しいスプーンヘッドに分厚い口。大きく硬い鱗も魚としての強さを感じさせてくれます。

釣りとしての魅力もはかり知れません。金属的な「カンッ!」というバイト、強烈なダッシュ、迫力満点のエラ洗いが釣り人の本能を刺激します。

性格は繊細でありながら時に大胆な一面も見せ、生態系の頂点に君臨する1メートルを超える大アカメは、時に人をも恐れません。

どこか畏敬の念を抱く、そんな神秘的な魅力に満ち溢れた魚がアカメなのです。

遠征費用はどのくらい?安く高知県へ行くには

筆者は現在東京近郊に住んでいますが、そこから車で釣行すると、高速を利用しても約10時間かかってしまいます。

長時間ドライブには疲労も溜まるため、週末に釣行するには少し負担が大きいと言えるでしょう。公共交通機関とレンタカーを利用しての釣行がおすすめです。

東京からの遠征予算例

移動手段には大きくわけて飛行機と高速バスがあります。料金例は以下の通りです。(2018/10/1現在)

・高速バス利用の場合

  • オリオンバス公式HP最安表示価格,13,000円~(往復)
  • ニッポンレンタカーK-Aクラス,1日7,688円 / 2日目以降6,588円
  • 合計料金,27,276円~

・航空機利用の場合

  • 全日空10/9発,70,980円~(往復)
  • ニッポンレンタカーK-Aクラス,1日7,688円 / 2日目以降6,588円
  • 合計料金,85,256円

となります。これにガソリン代と食費、さらにホテルなどに寝泊まりする場合は宿泊費が必要となります。

【朗報】ジェットスターが高知就航を発表 格安で遠征可能か!?

2018年12月19日からLCCであるジェットスターが東京・大阪から高知へ就航することが発表されました。

運賃としては公式HPで4,390円~と提示されています。LCC就航で高知への遠征がとても身近になることでしょう。

公示の最安運賃で高知遠征が叶った場合、航空機往復+レンタカー2日間で23,036円となります。

もちろん宿泊する場合は別途費用は必要ですが、遠方のアングラーにとっても高知遠征のチャンスが広がったのは言うまでもありません。

筆者も来年はジェットスターを利用してのアカメ遠征を考えています。

アカメ釣りの事前知識

アカメに限らず、魚を釣り上げる近道はターゲットの習性を知ること。はじめて釣る魚であればなおさら事前の知識習得が必須と言えます。

アカメ釣期

アカメは夏の魚と言われることがあります。浦戸湾奥では真冬に残ったアカメが釣り上げられることもありますが、5~10月中旬の間にほとんどの釣果が集中していることも事実。

これはシーバス同様に暖かいシーズンに河川や湾内に入って、冬シーズンには海に帰っていくという習性によるものです。

アカメの餌

アカメは肉食魚であるため、魚や甲殻類を捕食しています。

捕食する対象物のサイズは様々で、大きい個体は60cm級のボラや1Kg以上のノコギリガザミを捕食することもあります。

アカメは群れでいる?

単独でどっしり構えてそうなイメージのアカメですが、現地では群れでいるケースが多くみられます。小型の群れは10匹以上、メーター越えの大型の群れは2~3匹で泳いでいるのを見かけます。

この群れを上手に釣れば複数匹をキャッチできることも少なくありません。

また、バイトがあった時は周りに他のアカメがいる可能性が高くチャンスであると言えます。

ポイント

高知県ではほぼ全域でアカメを見ることが出来ます。その中でも代表的な釣り場は“浦戸湾内と四万十川”でしょう。

特に浦戸湾はアカメの魚影が濃く、最も人気があります。ここでは浦戸湾で見られるシチュエーションごとにアカメ釣りの狙いどころをご紹介します。

港内

※写真はイメージです。

港内はベイトが溜まりやすく、アカメが狩りをする餌場として機能しています。なんてことない港で巨大なアカメが釣れたりするので侮れません。

港の入り口は特にアカメの通り道になっていることも多く、格好の狙いどころとなります。

ただし港は漁師さんの仕事場であることが大前提。釣り禁止の場所では絶対に釣りをせず、ロープや船にルアーをひっかけないようにしましょう。

流入河川

※写真はイメージです。

初心者が最もアカメを釣ることが簡単なのが流入河川ではないでしょうか。

潮の満ち引きにより水位が大きく変わるため、アカメの入れ替えも激しく、比較的スレていないフレッシュな個体と出会える確率が高まります。

干潮からの上げや、ポイントによっては満潮からの下げを狙いましょう。河川は駐車できる場所が限定的です。先行者優先で、迷惑駐車は絶対にやめてください。

カケアガリ

※写真はイメージです。

漁港や流入河川は釣り人が多く、特に大型連休だと釣りが出来ないことが度々起こります。そこで狙いどころとなるのが本湾のカケアガリ。

浦戸湾の一見何もない水域においても地形の変化がある場所が存在します。特にディープと隣接するシャローは狙い目。大型が多いのもこういった場所の特徴です。

ベイトがいる場所を基準に

アカメ釣りのポイント選択はベイトフィッシュがキーとなります。様々なベイトが存在しますが、初心者が追いかけるべきはボラベイトです。

イナッコ~50センチを超えるボラが水面に見られる場所を見つけておきましょう。

ボイルする様子を見かけることも珍しくなく、マンホールの蓋をしめたような「バンッ!」といった独特の破裂音が聞こえるので、すぐにシーバスとは見分けがつくと思います。

タックル

アカメは引きが強い魚として有名で、筆者もそのパワーの恐ろしさを十分理解しています。アカメ釣り場は牡蠣殻帯や杭が乱立しているポイントも多く、障害物とも戦わなくてはいけません。

とはいえ、強度ばかりに気を取られてルアーの操作がおろそかになっては、アカメに口を使わせることは難しいでしょう。

アカメタックルは千差万別

一口にアカメタックルといっても狙うサイズやシチュエーションによって、適合するタックルは大きく異なります。

例えば20キロを超えるアカメを杭が乱立しているようなポイントで狙うのであれば、ルアータックルにおいてもショアジギングタックルでPEの5号程度の糸を巻き、走らせずに止めなければいけません。

ところが障害物がないポイントであれば極端な話、強めのシーバスロッドにPE1号でも取り込むことが出来ます。その前提を知っていただいたうえで選ぶべき初心者アカメタックルを考えていきましょう。

2タックルで挑むのがおすすめ!

アカメを手にしたいなら不意な大型にも対応できるメインタックルが重要です。ただし大物というイメージから強すぎるタックルを用意してしまうと、長い時間振ることが出来ないので、投げやすさとパワーを両立したタックルがよいでしょう。

また釣る確率を上げるためには、60センチ程度までのアカメを狙うライトタックルが有効です。

これらを考慮し私がおすすめするアカメ釣りにもっていくべきタックルは2本。スペックは下記の通りです。

メインタックル

ロッド:8フィート後半~9フィート後半 MH~Hクラスシーバスロッド
リール:ダイワ3000~3500番 シマノ4000~5000番スピニングリール
ライン:PEライン2号~2.5号
リーダー:50~60ポンド

ライトタックル

ロッド:7フィート後半~8フィート MLクラスシーバスロッド
リール:ダイワ社2000番~2500番 シマノ社2000~3000番スピニングリール
ライン:PEライン1~1.2号
リーダー:30~40ポンド

ルアー

前項で触れたボラつきのアカメを追うなら表層系のルアーはマストです。

トップウォーターからミノー、ビッグベイトまで1メートル50センチ以浅のレンジを細かく刻むとよいでしょう。

追われているベイトのサイズに合わせるとヒット率が上昇します。甲殻類やクロダイなどを捕食している場合はボトム系のルアーが有効です。

実釣におけるアドバイス

ここでご紹介するのはアカメ釣りのほんの一部です。釣り場でこれらのアドバイスを参考に、ご自身の釣りを展開すればきっとアカメに出会えるはずです。

アクションは“ゆっくり”が基本

表層系のルアーにおいても、中層やボトムを狙うルアーにおいても共通して大切なことは“ゆっくり”誘うことです。アカメは想像以上にルアーを観察してから捕食します。

潮や川の流れがあるなかで、じっくり見せてあげる工夫をするとヒット率は向上するでしょう。

シーバスよりブラックバスに近い釣り方が有効

アカメはシーバス釣りの延長と思われがちですが、捕食スイッチの入り方、好むルアーアクションなどは大型のブラックバスに非常に近いと感じています。

なかなかアカメに出会えない人はソルトルアーという先入観を捨てて、柔軟に攻略するとアカメをキャッチすることが出来るかもしれません。

【実釣編】ビックリマン高田が初挑戦者をガイド!釣果は……?

“幻の魚”として、多くの釣り人から憧れの対象となるアカメ。また、日本三大怪魚と呼ばれる怪魚の一角で、釣ることが非常に難しいと思われている魚でもあります。

とはいえ、高知県にはたくさんの個体が生息しており、実際にはコツをつかめば釣ることも難しくはない魚です。

2018年9月、筆者がアカメ初挑戦の女性アングラーを現地でガイドしてきましたのでレポートします。

ゲスト:釣りガール カオリさん

今回の企画でアカメに初挑戦してくれる女性は関西在住のカオリさん。3年前に釣りに初挑戦し、釣行日数は年に10~15回ほど。

うち、ほとんどが淡水のルアー釣りで、ソルトのルアー釣りはシーバス3回とエギング1回程度。それでも挑戦毎に必ず魚をキャッチしているラッキーガールでもあります。

まさかの開始20分!?アカメがヒット!

今回の高知では台風21号が接近していたため、安全を考慮すると釣りが出来るのは一夜のみという状況でした。釣り場について早速ルアーを投げてもらいます。

ほどなくして、岸から10メートルほど手前で衝撃のファーストバイト。なんと釣り開始から20分後の出来事。アカメは強烈な走りを見せます。

ツッコミとエラ洗いを繰り返すアカメですが、カオリさんは竿を立てたままリールを巻き続けます。

エラ洗いでルアーが吹っ飛んでいく……なんて光景が頭に浮かびますが、針は口の硬い部分にガッツリ刺さっており、今回はその心配はなさそうです。強烈な引きに対しても、緩めに設定されたドラグがいい仕事をしています。

エラ洗いとダッシュを繰り返したアカメも疲れてきたようで、足元に寄ってきたアカメを筆者が抱きかかえるようにランディングし無事アカメをキャッチ。

まさか開始20分後にここまでの結果となるとは……恐るべしラッキーガール。サイズは75センチ。初挑戦にしては出来過ぎなほどです。

今回釣れた要因は?

今回は台風によるシケを嫌った外洋のイナッコが河川に侵入してきたこと、低気圧によりベイトが上ずっていたことが開始20分で釣れた理由に挙げられるでしょう。

いい塩梅で水が濁ってくれたことや、風で釣り人の気配が消えたこともプラスの条件にありました。

ベイトや気象条件をバッチリ合わせることができれば、今回の様にエキスパートでなくともアカメを手にすることが出来るのです。

まずは挑戦してみること

「釣ってみたいけど腕に自信がない、難しそうでどこか挑戦出来ていない」

そういった方も沢山いらっしゃるかと思います。釣りにおいて最も大事なのは挑戦することです。アカメ釣りは筆者自身も通い続けて最初の3年は坊主、4年目にしてようやくキャッチできた魚でした。

それでもはじめてのアカメをキャッチした時には、アカメへの挑戦をはじめてよかったと心から思いました。前回のマナー編の記事やこの記事を読んだなら、あとは自分の運を信じて高知の海でルアーを投げるだけ。魅力的な土佐の怪魚に挑んでいただきたいと思います。

© 株式会社スペースキー