世界初のプラグイン燃料電池車メルセデス・ベンツ GLC F-CELLが初納車!

メルセデス・ベンツ GLC F-CELL

東京モーターショーでも披露されたGLC F-CELL

メルセデス・ベンツが、2017年のフランクフルトモーターショーでお披露目し、同年の東京モーターショーでも展示していたプラグイン燃料電池車”GLC F-CELL”。先月から量産車の生産を開始したという発表があったが、先ごろ最初の車両が顧客の元に届けられたようだ。とは言ってもこれは日本ではなくドイツ・ベルリンでの出来事。最初の顧客としてGLC F-CELLを受け取ったのは、ドイツの国鉄であるドイツ・バーンや、国や地域の各省庁などだが、今後は一般企業や個人向けにも納車を進めていく予定となっている。すべてのGLC F-CELLはメンテナンスなどが含まれるフルサービスのレンタル方式で提供されるという。

メルセデス・ベンツGLC F-CELLの画像はコチラから

燃料電池とEVのいいとこ取りをしたGLC F-CELL

メルセデス・ベンツ GLE F-CELLは、かつて200台ほどが生産されてリース形式でカスタマーに渡ったB-クラス F-CELLに続くメルセデスのプラグイン燃料電池車。Bクラス F-CELL電源よりも燃料電池スタック(※)を小型化しつつ、40%の出力アップを果たしている。さらに水素による燃料電池だけなく、外部から充電可能な13.8kWhのリチウムイオン蓄電池を搭載しているので、水素の残量が少なくなっても、電気自動車用の充電ステーションで充電することが可能となっている。水素だけを使う燃料電池車が持つ不安を解消したゼロエミッションのハイブリッドカーだ。

メルセデス・ベンツ GLC F-CELL
メルセデス・ベンツ GLC F-CELL

モーターはリアに備わり、出力は147kw(200ps)/350N・m。床下には700バールという高い内圧に耐えるカーボンファイバー製の水素タンクが収められており、その容量は2本で4.4kg。水素の再充填にかかる時間はわずか3分という。100kmあたりの水素消費量は0.34kgで航続距離は約430km(NEDC燃費)、EVモードのみでは51km走行することができる。

※水素と酸素の化学反応を利用して発電する装置のこと。

4つの走行モードをもつGLC F-CELL

ハイブリッドモード:水素による燃料電池とリチウムイオン充電池の両方から電力を得て、モーターを駆動する。もっとも効率のいい状態で両方の電力源を使用することができる。

F-CELLモード:水素による燃料電池から電力を得て、モーターを駆動する。水素のみを消費するので、長距離巡行に適したモードとなる。

バッテリーモード:リチウムイオン充電池の高電圧バッテリーから電力を取り出し、モータを駆動するモードで、燃料電池システムは駆動しない。短距離の移動に適し、満充電では51kmの走行が可能となっている。

充電モード:水素を補給する前に最大限の範囲でバッテリーを再充電したり、電力貯蔵量を増やすために、高電圧バッテリーを充電することが優先される。

すべてのモードで、システムはエネルギー回収機能を備えており、ブレーキング時やコースティング時にはバッテリーに電力を蓄えることができる。

燃料電池車といえば、日本ではトヨタ ミライとホンダ クラリティ FUEL CELLがあるが、航続距離はそれぞれ650kmと750kmを謳っていす。この両車よりメルセデス・ベンツGLC F-CELLは燃費面で劣るが、プラグインシステムと組み合わせることで、現在まだ十分とは言えない水素ステーションのインフラ状況に対応している。現時点で日本導入はまだ未定だが、日本の道でも走って欲しいものだ。

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