【MLB】イチローが歴代1位の“想定外MVP” 米メディアが選出「最もスキルの高い打者」

2001年にメジャー史に残る活躍を見せたマリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

2001年に新人王とMVPを同時受賞したマリナーズのイチロー

 今季のメジャーリーグの最優秀選手賞(MVP)が15日(日本時間16日)に発表され、ア・リーグはレッドソックスのムーキー・ベッツ外野手、ナ・リーグはブルワーズのクリスチャン・イエリッチ外野手が選出された。いずれも初受賞で、今季の首位打者に輝いていたが、米メディアではMLB過去20年間で「最も意外なMVP10人」を格付けする特集を掲載。1位には2001年のメジャー移籍1年目で新人王とMVP同時受賞という偉業を成し遂げたマリナーズのイチロー外野手が選出されている。

「過去20年間で最も意外なMVP」と特集したのは米テレビ局CBSスポーツだった。MLBが現行の30球団に拡大された1998年以降で“想定外”のMVPを選出。「値せずの声」「異論あり」などの選考基準をもとに選出されている。

 1位は2001年シーズンのイチローだった。寸評では「イチロー・スズキはメジャー史上最もスキルの高い打者の1人だ。2001年、彼は新しい文化とリーグに適応していた。プロ意識と技術の高さを実にスピーディーかつ効果的にメジャーで発揮したことの証だ」と絶賛している。

 オリックスからやってきたイチローはメジャー最多242安打、56盗塁、打率.350と大活躍。首位打者、盗塁王、MVP、新人王、ゴールドグラブ賞などに輝いた。そこから10年にわたって200本安打とゴールドグラブ賞、オールスター出場を続けたイチローが“想定外MVP”トップに選出されるにはある理由があった。

「MVPを獲得したメジャー史上唯一の外国人ルーキーであり続けていることから、彼をこの順位に格付けすることは公正だろう」

 通常なら異文化への適応に苦しんでもおかしくない外国人であることが最大の理由だった。

MLBで新人王とMVP受賞を成し遂げたのはイチローとフレッド・リンのみ

 一方、指標の上ではイチローはメジャー史上最多116勝を挙げたチームで2位の働きだったという。WAR(Wins Above Replacement)とは現在のメジャーリーグで最も重視されているセイバーメトリクスの指標の1つ。様々な指標を総合して、ある選手が走攻守の全てを合わせて、どれだけ勝利に貢献したかを評価するもの。控えレベルの選手が出場する場合に比べて、どれだけチームの勝利を増やしたかを表している。

 イチローのこのシーズンのWARは7.7。チームトップだった主砲ブレット・ブーンの8.8に次ぐもので、ア・リーグの野手の中では4位だったというデータも紹介している。MLBで新人王とMVP受賞を成し遂げたのはイチローとフレッド・リンのみ。メジャーに嵐を巻き起こしたイチロー旋風の驚きは今もなお米国に深く刻まれている。

 2位から10位は以下の通り。

2位 2006年 ジャスティン・モーノー内野手(当時ツインズ)
3位タイ 2011年 ジャスティン・バーランダー投手(現アストロズ)、2014年 クレイトン・カーショー投手(ドジャース)
5位 2007年 ジミー・ロリンズ内野手(当時フィリーズ)
6位 2006年 ライアン・ハワード内野手(当時フィリーズ)
7位 2002年 ミゲル・テハダ内野手(当時アスレチックス)
8位 1998年 サミー・ソーサ外野手(当時カブス)
9位 2000年 ジェフ・ケント内野手(当時ジャイアンツ)
10位 2008年 ダスティン・ペドロイア内野手(レッドソックス)(Full-Count編集部)

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