【日米野球】MLB選抜が驚愕した侍Jの「スプリットとチェンジアップ」 建山Cを質問攻め

侍ジャパン・建山義紀投手コーチ【写真:Getty Images】

70歳のアストロズ投手コーチ、侍投手陣の変化球に「何かコツがあるんじゃないかと」

 野球日本代表「侍ジャパン」と「2018日米野球」を戦ったMLBオールスターチーム。その投手コーチを務めたブレント・ストラム氏が、15日の第6戦の試合前、通訳を伴って歩み寄ったのが、侍ジャパンの建山義紀投手コーチの元だった。その目的は、ずばり「よりよいスプリットとチェンジアップの投げ方を教えてもらおうと思って」。そして、そのスプリットとチェンジアップを伝授する相手は、意外なベテラン投手だという。

 ストラム投手コーチは2014年からアストロズの投手コーチに就任。2017年にワールドシリーズ制覇を果たしたチームの屋台骨とも言える投手陣を支えている。今年で70歳を迎えたストラム投手コーチは、メジャーの現役投手コーチの中では最年長だが「常に学ぶ姿勢は持ち続けていたいんだ」と、今回の日米野球にも大いなる好奇心を持って参加した。

 そして、侍ジャパンのピッチングを目の当たりにし、驚かされたのが「スプリットとチェンジアップの精度の高さ」だという。「何かコツがあるんじゃないかと思うんだ。これから日本の投手コーチに、その秘訣を聞いてくるよ」と意気込んで、打撃練習中に建山投手コーチの元に向かうと、通訳を交えながら10分以上にもわたり質問攻めにした。

通算300勝目指すサイ・ヤング賞投手のカギは「チェンジアップ」

 ひとしきり話を終えて戻ってきたストラム投手コーチは、秘訣は何だったのか聞かれると「う~ん……結局は練習に尽きる、としか言えないな」と苦笑い。「握りや腕の振りが日米で大きく違うところはない。違いと言えば、スプリットやチェンジアップが習得できるまで、諦めず練習し続ける根気があるかどうか。メジャーやマイナーの投手は、上手く投げられないとすぐに諦めてしまうんだ。最初は上手く投げられなくても、できるようになるまで繰り返し練習する根気。これは大事なことだ」と話した。

 建山投手コーチから伝授された技術的なヒントもいくつかあるが、これはアストロズに持ち帰り、還元するつもりだ。そして今、チェンジアップにより磨きをかける必要があるのが、サイ・ヤング賞右腕ジャスティン・バーランダー投手だという。

「バーランダーは300勝を目指しているんだ。今35歳で通算204勝だから、あと96勝するには少なくとも43歳までは投げ続けないといけない。長いキャリアを送るためには、チェンジアップが有効になってくる。ノーラン・ライアンも、ロジャー・クレメンスも、キャリア終盤はチェンジアップがあったから投げ続けられた。バーランダーもチェンジアップを進化させれば、300勝を挙げる可能性だって見えてくる」

 投手コーチが得たコツが、どういう形でバーランダーに還元されるのか。来季以降のチェンジアップに注目してみるのも面白いかもしれない。(Full-Count編集部)

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