BSL4「情報開示を」 周辺住民や市民 長大や県、市を提訴

 長崎大が長崎市の坂本キャンパスに設置を計画している感染症研究施設「バイオセーフティーレベル4(BSL4)」について、病原体の入手方法や事故発生時の避難計画などの情報が開示されず「知る権利」などが侵害されているとして、周辺の反対住民や市民らが16日、同大、県、同市に情報開示を求める訴訟を長崎地裁に起こした。また同日、同大、県、同市に対し、法や条例に基づき同様の情報開示を請求した。
 原告は、周辺住民や市民ら1955人でつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会」(山田一俊代表)と、BSL4の計画地から半径10キロ以内の居住者4人。同日、長崎市役所で記者会見をした。
 訴訟と、法などに基づく制度上の開示請求に同時に踏み切った理由について、原告代理人は「制度に基づいてしか開示請求をできないと定めた法律はどこにもない。ただ(法などに基づく手続きを先に踏んでいないとの)形式的な争点を発生させないため制度上の開示請求もした」と説明した。
 訴状によると、BSL4施設からウイルスなどが漏れると、感染して体に危害を生じさせる恐れがあると主張。同大や、設置計画に同意している県、市は着工が迫った現時点でも、住民の避難計画などを示しておらず、憲法上の幸福追求権や人格権、知る権利が侵害されているとしている。
 求める会は当初、施設の建設差し止めを求める仮処分申請を検討していたが、訴訟費用などを理由に当面は情報開示を求めることにした。
 同大の河野茂学長は14日、坂本キャンパスでの来月着工を表明したが、求める会の山田代表は会見で「立地場所を再考してほしい」と訴えた。大学側は「訴えの内容を確認していないのでコメントは差し控えたい」とした。

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