小さな命、成長に喜び 「世界早産児デー」 母親らが体験語る 横浜

 小さく生まれた赤ちゃんの命を輝かせて-。「世界早産児デー」の17日、横浜市南区の県立こども医療センターで、早産を経験した母親たちの交流イベントが開かれた。出産時の体験を語り合うなどし、子どもの成長の喜びや育児の悩みを共有。子どもたちは手形アートを楽しみ、懸命に生きる姿に参加した85人が目を細めた。

 「体が細くて小さくて少し力を入れたら壊れそうで怖かったけど、次第にかわいい気持ちになっていた」

 青木梓さん(35)=横浜市戸塚区=は1歳7カ月の蓮結恩(れいおん)ちゃんを抱き、涙で言葉を詰まらせながら出産時を振り返った。帝王切開で生まれた蓮結恩ちゃんは、同病院のNICU(新生児集中治療室)で医療スタッフのケアを受けながら成長した。

 相模原市南区の山岸奈央子さん(32)は、1歳8カ月になった結思(ゆうし)ちゃんを予定日より79日早く626グラムで出産。生まれたときから付けていた呼吸器を外した写真や、元来の出産予定日を祝う様子を紹介し、「状況は違うけど、NICUという環境の中で労苦を体験したおかあさんたちと時間を共有できるのはうれしい」と笑顔を見せた。

 2組の母親が体験談を語ったイベントは、同病院が昨年に続き企画。赤ちゃんがNICUに入院していた母親や家族らが仲間や医療スタッフと再会し、子どもの成長を喜んだり育児の悩みを相談したりして理解を深め合った。

 周産期医療を描いたドラマ「コウノドリ」のロケ地にもなり、年間400~450人が入院している同病院のNICU。早産児は元来の出産予定日から1カ月後が退院日となり、長期間のケアを受けている。同病院の布施明美副看護局長は「社会全体で小さな命を救い、見守る環境や理解が進んでいければ」と話した。

「世界早産児デー」のイベントで、手足でペイントするアートを楽しむ親子=県立こども医療センター

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