県警が交番勤務員の安全を確保するための対策を進めている。交番はあらゆる相談の受け付けや事件事故への対処など、地域に開かれた警察の「顔」。一方で、6月に富山市で、9月には仙台市の交番で警察官が殺害される襲撃事件が発生した。県警は天板付き防護壁の設置を進めるなど、地域との触れ合いを保ちつつ、不意の襲撃を回避しやすい交番づくりに知恵を絞っている。
県警地域部によると、県内の交番は472カ所。天板付き防護壁は2016年から整備を進めており、今春までに横浜や相模原市、寒川町の4カ所の交番に設置された。
南署浦舟町交番(横浜市南区)には昨年3月、来訪者に応対する執務机の前に高さ約1メートル、幅約2・2メートル、奥行き約20センチの防護壁を設けた。瞬時に乗り越えるのが難しい構造で、不意の襲撃をかわしたり、応援要請の時間を確保できたりするようにした。勤務する森山美月巡査(24)は「来訪者と一定の距離を確保できるので、いざというときの対処がしやすい。安心感がある」と話す。
県警は駅前や繁華街など、来訪者が多い交番を中心に防護壁の設置を進める方針。防護壁がない交番でも、レイアウトを工夫するなどして不審者が侵入しにくいようにしていく。花家憲也地域部長は「地域住民に開かれた交番であることに配意しながら、防護壁の設置など、勤務員の安全確保に万全を期したい」としている。