MotoGP最終戦:中上、6位獲得しパルクフェルメで歓喜。「クラッチローがアドバイスをくれた」と感謝

 2018年シーズンMotoGP最終戦、第19戦バレンシアGPで中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が奮闘した。今季ベストリザルトの6位フィニッシュ。インディペンデントチームライダーとしてトップでチェッカーを受けた。

 最終戦バレンシアGPの決勝レースは波乱に満ちた。レースはウエットレース宣言が出されたが、スタートが近づくにつれ次第に雨脚が強くなっていく。その雨はレース中もやむことなく、コース上には水が浮いている状態だった。

 そんなコースコンディションに足元をすくわれ、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)やマーべリック・ビニャーレス(モビスター・ヤマハ・MotoGP)をはじめとして転倒者が相次いだ。しかし中上はそんななかでも、堅実に周回を重ねる。

 状況の悪化に、レースはトップが14周を終えたところで赤旗中断。このとき、中上は6番手につけていた。

状況の悪化によりレースは、赤旗中断。残り14周で再開となった

 天候とコースコンディションの回復を待ってレースは再スタート。13周目のコントロールライン通過順位がグリッド順となり、中上は7番手から14周のレース2をスタートさせた。

 レース2もウエットコンディションで、厳しい戦いには変わりなかった。最終的に、24名中9名が転倒リタイア。完走者のなかにも、転倒からレースに復帰したライダーが複数名いるというサバイバルレースだった。

 難しいコンディションのなか、中上はダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)の後ろで周回を重ねてチェッカー。6位というポジションは、中上にとって今季最高位であり、インディペンデントチームのライダーとしてトップフィニッシュだった。

 インディペンデントライダーのトップは、表彰台を獲得したトップ3とともにパルクフェルメにバイクを止める。国際中継では、チームスタッフたちとともによろこびを分かち合う中上の姿が映し出されていた。

「今日は本当に厳しいレースでした。毎周、毎コーナーが怖く感じるような状況でしたが、とても充実した手応えでレースを終えることができました。まさか自分がインディペンデントチーム最上位になれるとは思ってもいなかったので、自分でも驚いています。今日はプレッシャーも大きかったのですが、本当にいいレースになりました。」

 中上は決勝日前夜、チームメイトのカル・クラッチローから連絡をもらっていた。クラッチローは怪我により、最終戦を欠場している。「ミスなく集中して走るように、そして失うものはなにもないのだから全力で攻めろ」。クラッチローは中上にそうエールを送った。

「おかげで、思いきりレースをできて、今日は忘れられない一日になりました。とてもいい形でシーズンを追えることができたので、彼の心遣いには本当に感謝をしています」

パルクフェルメではチーム代表のルーチョ・チェッキネロ(左)が笑顔で中上(右)を迎えた

 中上のMotoGPクラスルーキーイヤーが、幕を閉じた。ポイントランキングは20位。11月20日からは、早くも来シーズンに向けたバレンシアテストが始まる。

「来年に向けたテストにも、いい勢いで臨めます。でもその前に、今日はパーティを思いきり楽しみたいと思います」

 困難なレースとなった最終戦で最高の結果をつかみ、来シーズンにはずみをつけた。

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