WTCR:49歳イバン・ミューラー、2019年も現役続行へ。シアン・レーシングと正式契約を発表

 WTCR世界ツーリングカーカップ最終戦でガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイi30 N TCR)と最後まで初代王座を争ったイバン・ミューラー(ヒュンダイi30 N TCR)が、2019年に向けタイトル奪還の意思を正式に表明。同時にシアン・レーシングからは来季契約の締結がアナウンスされ、現役を続行することが正式発表された。

 WTCC世界ツーリングカー選手権で4度の世界王者に輝いているミューラーは、11月15~18日に開催されたマカオ・ギアレースで5度目の世界タイトル獲得に挑戦。ドライバーズタイトルはわずか3ポイント差で逃す結果となったが、2017年までともに戦ったシアン・レーシングのサポートを受けるYMR(イバン・ミューラー・レーシング)は、3ポイント差でWTCRの初代チームチャンピオンの座についた。

 現在49歳のミューラーは2016年限りで一度は現役引退を表明したものの、2017年の休養を経て2018年からレギュラードライバーとして本格復帰。そのシーズンで56歳のタルキーニとタイトル争いを繰り広げたことを受け、引き続き2019年も現役続行を決意し、新たにTCRマシンを製作してチャレンジを始める新ブランド『Lynk&Co』のけん引役となることが期待されている。

 この中国・吉利汽車グループ傘下の『Lynk&Co』は、同じくグループ企業となるボルボとの技術協力やプラットフォーム共有による市販モデルを発表。新たに登場するCセグメントモデル『Lynk&Co 03』をベースとしたTCRレースカーを開発している。

 そのレースモデル開発とモータースポーツ活動の実働を担うのが、ボルボのファクトリーチームとして活躍したシアン・レーシングとなり、10月には2019年のWTCRにLynk&Co Cyan Racing(Lynk&Coシアン・レーシング)としてエントリーすることを表明。そのドライバーに2017年WTCCチャンピオンのテッド・ビョークを起用することをアナウンスしていた。

 マカオでの最終戦から一夜明けた月曜早朝に契約を発表したシアン・レーシングは、すでに起用を発表していたビョークと、ボルボ・ポールスター・シアン・レーシング時代に開発ドライバー兼アドバイザー職も務めたミューラーとともに新型モデルの開発とタイトル奪還を期すこととなった。

「2019年のWTCRを戦うにあたり、イバン(ミューラー)は我々の重要な部分を担う存在となる。同時に彼と彼のチームであるYMRとともに協力して戦った2018年シーズンは、今後の活動に向けても非常に貴重な財産となった」と語るのは、シアン・レーシングCEOのクリスチャン・ダール。

「このYMRのプログラムにより、我々はLynk&Coシアン・レーシングとして2019年のシリーズ参戦とマシンデビューの瞬間に向け、必要な体制をすべて整えることができた。2018年の(YMR名義の)チームタイトル獲得は、来るべき挑戦に向け充分な自信を与えてくれた」

 一方、純白のボディに“100-0-0-0”のロゴのみを掲げ、シアン・レーシングの支援でビョークとともにヒュンダイi30N TCRをドライブしたミューラーも「彼らの仕事ぶりにはいつも満足している」と感謝を述べると同時に、来季に向けての意気込みを語った。

「その活動の発展形として、新たにLynk&Coと理想的な状況でプログラムを開始することができる。テッド(ビョーク)と引き続き協力して、2019年ワールドタイトル獲得のため懸命にプッシュするつもりだ」

 またチームは近日中にも3人目のドライバーに関するアナウンスを行うとしており、その候補として今季はミュニッヒ・モータースポーツのホンダ・シビック・タイプR TCRで活躍を演じたミューラーの甥、ヤン・エルラシェールの加入が有力視されている。

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