<(3)から続く>
-ゴーン容疑者はカリスマ経営者として知られリストラをし豪腕を振るった。あらためて「カリスマ」だったか。
カリスマだったのか、正直言って私も分からない。今に至るまで当面の対応に追われているので、じっくり考えたい。
事実としてみると他の人間ができなかったこと、大きな改革を実施した実績は紛れもない事実だ。そのほかについては功罪両方あるというのが私としては本当の実感です。
積み上げてきたこと全部を否定するわけではない。将来に向けた遺産も多い。ゴーンCEOがトリガー(引き金)を引き、実際にチャレンジして進めてきたのは従業員やパートナーの皆さんだ。その分の価値は毀損(きそん)されるものではない。
正確に触れられないが、最近の状況としては、権力の座に長く座っていたことに対するガバナンスと、実際の業務の面でも、弊害も見えてきたというのは、実感している。私が意見したこともあった。
従業員から見ても見える形で手を打っていきたい。
-有価証券報告書に虚偽記載があったということだが、これは粉飾決算に当たらないのか。
西川 粉飾というよりは、本来記載すべきことが記載されてなかった、ということ。報告書は会社の発行なので適正ではなかった。その訂正、瑕疵(かし)は認めなければいけない。
-ゴーン容疑者が長い間、権力の座に就いていたことの弊害について、(西川社長は)どのような提言したか。
西川 実務、現場から離れて聞いていて、彼(ゴーン容疑者)にいつもリポートしている人間が限られてきて、多少間違っていたり、もっと確認しなければいけなかったりすることを、限られたインプット(入力情報)で決定してしまっていた。
誰でもあることだが、その部分、問題点の方が、昨今は多く見られたというのが実感。
-ケリー容疑者はどういう業務をしていたのか。社内にどういう影響力を持っていたか。
彼(ケリー容疑者)はもともと、日産出身で執行役員という立場でアライアンス(他社との協業)の仕事を兼ねて専務執行役員だった。
影響力というのはCEO時代からアライアンス時代まで幅広くアライアンスの面でもゴーン(容疑者)の側近として動いていた。影響力がそういう意味で大きい。そういう役割だった。
近年は会長のサポート、アドバイス以上の力を持っていなかった。影響力という面では徐々に落ちていたとみている。
<(5)に続く>