【鎌倉市役所移転】住民投票、市長「到底容認できない」

 神奈川県鎌倉市役所移転計画の是非を問う住民投票条例案を審議する市議会臨時会が20日、開会した。松尾崇市長が市民団体の出した条例案を提出。「到底容認できない」とする意見書も付した。

 条例案は、市民団体「市役所移転を問う住民投票の会」が6日、8270筆の署名とともに提出。「本庁舎の深沢移転」の賛否を問い、市長と市議会は投票結果に拘束される、としている。

 市長は地方自治法の規定に従い、意見書を付けた。臨時会の本会議で、市長は移転や、移転先を深沢地域整備事業用地(同市寺分)に選んだ経緯について、建て替えや長寿命化と比較した上、市民の利便性などの観点から検討したとし、「市民の意見を聞き、学識経験者なども議論を重ね、市議会にも報告し、必要な議決を得て事業を進めてきた」と強調。その上で「単に深沢地域への移転の賛否を問うことは、多くの人と丁寧な議論で築いた結果と過程をないがしろにするもの」とし、条例案に反対する考えを示した。

 さらにその内容にも言及。「深沢移転に賛成と反対の選択肢だけでは、どのような整備を望むのか市民は意思表示できない」「投票結果に拘束されれば、市議会や市長の権限を否定することになる。条例制定は地方自治法の規定違反と考える」などと指摘した。

住民投票条例案に反対する意見を述べる松尾市長(中央)=鎌倉市役所

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