日本の歴史は繰り返す?カルロス・ゴーンとハリルホジッチ、奇妙な4つの共通点

日産のカルロス・ゴーン会長が逮捕され、大きな騒動となっている。

この一報を受け、筆者がすぐに思い出したのは今年4月に起きたハリルホジッチ氏の解任騒動だった。明治維新150周年の年に起きたこの二件の奇妙な共通点とは?

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フランスからやってきたカリスマ

ゴーン氏といえばフランス人のイメージが強いが、もとはレバノン系の両親のもとブラジルに生まれ、その後フランスで成功したエリート。レバノンというと、スペイン代表DFピケの妻でコロンビア人歌手のシャキーラも父親はレバノン系マケドニア人であり、彼女も数か国語を操る才女だ。

ハリルホジッチ氏はユーゴスラビア生まれのボスニア・ヘルツェゴビナ人だが、選手としては現在率いているナントなどフランスで成功を収め国籍も取得。ユーゴの内戦などもあって同国に拠点を移し、指導者としても大半をフランス語圏の国で生活している。

どちらも革命の国フランスならではの“グローバルな人材”であったと言えよう。

容赦なくリストラ

1999年、経営危機に瀕していた日産はフランス大手ルノーと資本提携。この時すでに「コストカッター」「コストキラー」と知られたゴーン氏は日産の最高責任者に就任すると、容赦なく大量のリストラを敢行する。大きな反発も呼んだが、その結果、日産を短期間で復活させることに成功した。

ハリルホジッチ氏は、八百長への関与を疑われ契約解除となったメキシコ人ハビエル・アギーレ氏の後任として2015年3月に就任。パスを重んじるポゼッションスタイルの日本サッカー界に縦の速さを求め、「デュエル」という言葉を流行させた。その中で自身のスタイル、やり方に合わない選手を切り捨てていくが、その対象は本田圭佑、香川真司、岡崎慎司といういわゆる「ビッグ3」さえ例外ではなかった。

日本人から?の逆襲

今回の逮捕容疑は金銭面に関することだが、前東京都知事の舛添要一氏はゴーン氏が日産とルノーの経営統合を画策したことで日産側からクーデターに遭ったとの見方を示している。もともと(自身はリストラを敢行したにもかかわらず)高額な報酬や、日産・ルノー・三菱自動車の会長を務め、権力が集中し過ぎていたことで反感を買っていた背景もある。

一方、ハリルホジッチ氏も彼の頑固さ、誤解を招きやすい物言い、ベテラン選手に対する扱いなどが日本人のサッカー関係者から反発を受け、不振も重なった結果、ワールドカップ2か月前にして解任の憂き目に。一部選手のクーデター説など、さまざまな憶測や陰謀論を呼んだ。

何が真実かはさておき、彼らフランス流のやり方に日本人が拒否反応を示したのは確かだろう。

支持者や海外の反応

ハリルホジッチ氏は「日本の戦術を世界標準に引き上げてくれる名将」として一部サッカーファンから熱烈に支持されており、解任騒動の際は日本サッカー界を分断する事態にまで発展。海外でも日本人側の体質を指摘する声もあった。

ゴーン氏も当時としては斬新な経営スタイルを持ち込んだ人物。今回の逮捕劇は法を犯している可能性が高いため同列には語れないが、ハリル解任劇と同じようにフランスのメディアなどから「悪意ある攻撃」と彼を擁護するような論調も生まれており、日本国内でもそれに同調するような意見もある。

日本サッカー界は結果の面では解任後のワールドカップで成功を収め、そのいい流れが現在の好調に繋がっている。日産はこの後、どのような運命を辿ることになるだろうか。

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