【平成の長崎】政治とカネ 政官業の癒着浮き彫りに 平成14(2002)年

 「政治とカネ」の問題が相次ぎ、政官業の癒着が浮き彫りとなった。
 10月5日、長崎市発注工事の入札を巡り、最低制限価格を漏らし入札を妨げたとして競売入札妨害容疑で市幹部や市議、業者が逮捕された。最終的に現職議長ら市議5人が逮捕される前代未聞の展開となった。
 事件後、市は入札制度の改革を進めた。当時の都市計画部長で翌年から助役を務めた松本紘明さん(74)は改革の旗振り役を務めた。「事件後の市役所内は『次は誰だ』と戦々恐々の雰囲気もあった。そんな中、外部からの圧力を遮断しながら再発防止策を考えた」。入札事務の一元化を皮切りに電子入札システムを導入。「指名競争」から「一般競争」へと段階的にかじを切っていった。
 市は昨年度までに工事だけでなく、コンサル業務など全ての入札について原則、一般競争入札へ移行。松本さんは「今後、指名入札を求める声は上がるだろうが、ここだけは戻してはいけない」と力を込める。
 2002年末には、知事選に絡んだ自民県連への違法献金問題で、長崎地検が公職選挙法違反の疑いで県連事務所などを家宅捜索。公共工事の受注業者に県連幹事長が献金を求めるという歴代幹事長に引き継がれていた長崎方式にメスが入り、全国的な注目を集めた。
 3月には佐世保重工業(SSK)が社員の教育訓練を偽装し、国の助成金を不正受給した詐欺事件が発覚。前社長ら幹部8人が逮捕された。(平成30年11月23日付長崎新聞より)
◇   ◇   ◇
【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

長崎市と市議会を揺るがせた入札妨害事件。市役所は繰り返し県警の捜索を受けた=2002年10月6日

© 株式会社長崎新聞社