外国につながる子の学習支援 ボランティア団体「ひまわり」

 外国につながる子どもたちを対象に一対一の学習支援を行う活動が、川崎市麻生区で始まって10年の節目を迎えた。手掛けるのは、ボランティア団体「あさお多文化サポートネットひまわり」。会員が各小中学校に足を運び、子どもたちに寄り添った指導を展開してきた。外国人が少なかった麻生も近年は学習支援が必要な子どもが増加しており、今後は担い手の養成を目標に据える。

 川崎市内では、本人や保護者が外国籍の児童・生徒に対し、母国語で日本語を教える「日本語指導等協力者」の派遣事業が行われている。派遣期間は10~12カ月。中には短期間での習得が難しい子どももおり、授業で取り残されてしまうケースもあった。

 ひまわりの活動の発端は2006年、発起人の村井直子さんと木村邦子さんが協力者派遣事業の終了者ケアを区に提案したことだった。区も意義を認め、委託事業として取り組むことが決定。きめ細かな個別対応を可能にするため、子どもたちを一堂に集めず、会員が各小中学校に出向く形式を採用して08年からスタートした。

 ボランティアの募集では(1)日本語教師養成講座(420時間)修了(2)日本語教育検定合格(3)日本国教員免許取得―のいずれか1つを条件とした。決して低くはないハードルだが、それでも「約30人の応募があった」と村井さん。現在は、区内の主婦やシニア男性など19人が会員に名を連ねる。

 スムーズな支援につなげるため、支援の要望があった場合には、区役所などが間に入り、学校側の希望と会員の都合を調整した上で活動に入る。指導は部屋を別々に分けて一対一で行うが、実際の授業に会員が入って補助することもある。指導は1人につき週2時間が目安という。

 河内(こうち)恭代(やすよ)代表はフィリピン国籍で小学3年生の女児の言葉を紹介する。「わからないことばは、いっしょにじしょで調べて、わかるようになった。ひまわり大好き!」-。会員らは「会の方式が川崎全域に広がれば」と口をそろえる。

 連絡ノートを通じて生徒の様子を情報共有する中学校教諭は「学校では分からない側面を気付かせてくれる」と感謝する。長期休みには合同勉強会や交流会などもあり、子どもや親、学校関係者が理解を深める場として喜ばれている。

 課題は、活動の担い手の確保だ。18年度の対象児童・生徒は26人で、前年度より9人増えた。今後も増加傾向は続くと見込まれ、河内代表は「地元の大学生ら若い力も借りていきたい」と力を込めた。

 問い合わせは、メールで同会(asao.himawari.2008@gmail.com)へ。

子どもたちに寄り添い、学習を支援する会員ら=2017年、川崎市麻生区の麻生市民館

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