島鉄ゆかり「1号機関車」再現 段ボールで実物大模型 南島原の島さん制作 島原で12月2日まで展示

 明治後期から昭和初期にかけ島原鉄道で走っていた「1号(蒸気)機関車」(国の重要文化財)の実物大段ボール模型が24日から、長崎県島原市平成町の島原復興アリーナで初公開される。制作した段ボール工芸家の島英雄さん(69)=南島原市=は「当時、見たこと、乗ったことのある人に懐かしんでもらえればうれしい」と話している。
 1号機関車の模型は、長さ7・4メートル、最大幅2・2メートル、高さ3・5メートル。車輪を動かすピストン周辺など細部まで再現した。正確な部品数は分からないがリベット、ナット・ボルトだけでも約2800個に上るという。23日は同アリーナで、ボイラーや運転席など約70のブロックを島鉄社員や市職員らが手伝いながら組み立てた。
 市や島鉄によると、1号機関車は英国製。1872年、新橋-横浜間に開業した日本初の鉄道で使われ、1911年の島鉄開業に合わせて鉄道院から払い下げられた。保存運動の高まりから、30年に鉄道院に譲渡するまでの19年間、諫早駅-島原湊駅(現南島原駅)間を走った。現在、鉄道博物館(さいたま市)に展示されている。
 島さんは東京都出身。大学時代から段ボールを使った実物大の模型を作っていた。60歳で建築設計業を退き、段ボール工芸家に転身。D51形やC62形などの蒸気機関車(SL)を細部まで再現した実物大模型で注目を集めた。
 1号機関車の制作は島鉄から依頼され、無償ながら「島鉄ゆかりの蒸気機関車で地域おこしにつながれば」と快諾。2年半前から資料を収集。鉄道博物館で採寸し、メーカーの図面や当時の写真などを参考に、材料や作業場を提供してもらっている「九州ダンボール」(福岡県筑後市)で、ことし4月から部品づくりに取り組んでいた。
 一般公開は12月2日まで(26日休館)。無料。島鉄のパネル写真や1号機関車に関する資料なども展示する。

組み立てられた「1号機関車」と島さん=島原市、島原復興アリーナ
島原鉄道を走っていた当時の「1号機関車」(島鉄提供)

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