東京・銀座に「しっぽく浜勝」オープン リンガーハット 米濵和英会長 「郷土の味を伝承、発展へ」

 東京・銀座に23日、長崎伝統の卓袱(しっぽく)料理が楽しめる「長崎しっぽく浜勝銀座本店」がオープンした。運営するリンガーハットが長崎市鍛冶屋町に「長崎卓袱浜勝」を開店して50周年の記念店舗で、初日から大勢の客でにぎわった。
 本県発祥の外食大手として、長崎の食文化を首都圏の人たちに親しんでもらおうと開店。店舗は老舗デパートや有名ブランド店が立ち並ぶ中央通り沿いに構えた。
 魚介や和牛、野菜などすべての食材を本県から直送。コース料理(税別7800~1万3800円)のほか、対馬の石焼き料理、クジラ料理、ちゃんぽんなどを提供する。内装も壁などに大浦天主堂や長崎の海をイメージした意匠をあしらい、長崎らしさをアピールした。詰め掛けた客はおひれから始まるコース料理に「おいしい」と舌鼓を打っていた。

◎郷土の味を伝承、発展へ

 リンガーハットが東京・銀座に卓袱料理店をオープンした背景や狙いを同社の米濵和英会長(74)に聞いた。

 -卓袱料理店は長崎に次いで2店舗目となった。
 以前から東京の中心・銀座に卓袱の店を構えたいと考えていて、やっと念願がかなった。卓袱料理は格式と伝統がある料理。朱塗りのテーブルでおひれから始まり、何より粋でなくてはならない。これまで(東京で名の通った)デパートやホテルなどから出店の誘いを受けたこともあったが、ある程度自信が付くまではという思いがあった。

 -なぜ東京で卓袱なのか。
 長崎の料亭が次第に減っていったように、卓袱という業態は(運営が)なかなか難しい。ただ、われわれの企業使命感の中には「郷土の味の文化を発掘し、発展させる」というのがある。卓袱料理は長崎でこそ知られてはいるが、東京での認知度は低い。いま一度、卓袱料理の品位を落とすことなくきちんと伝承し、発展させていく必要があると思っている。

 -店のアピール点は。
 きちんとした卓袱料理店は都内唯一。全ての食材を長崎から空輸し、手ごろな値段で提供している。長崎の食文化、和華蘭(わからん)料理はこんなに豊かでおいしいということをアピールしていきたい。

長崎伝統の卓袱料理を楽しむ客=東京・銀座、長崎しっぽく浜勝銀座本店
「東京で卓袱料理を広めたい」と話す米濵会長=東京、銀座

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