長崎県内の性別変更43件 性同一性障害特例法15年

 戸籍の性別変更を可能とした性同一性障害特例法の制定から今年で15年。2004年の法施行から昨年までに、性別適合手術などを経て裁判所に戸籍変更を請求したケースが県内では44件あり、うち43件が認められていたことが長崎家裁のまとめで分かった。
 同法は03年7月成立、04年7月施行。長崎家裁によると、請求件数は当初年間1、2件で推移したが、次第に増え、16、17年はいずれも7件あった。44件中1件は取り下げ。
 最高裁の司法統計によると、04~17年度の全国の家裁への請求件数は計約8千件。うち戸籍変更が認められたのが約7800件、却下が約40件、取り下げが120件-など。全国的にも請求件数は増加傾向で16、17年度はそれぞれ900件を超えた。
 性同一性障害は、心と体の性が一致しない障害。原因は未解明だが、胎児期のホルモン異常などの説がある。治療にはカウンセリングやホルモン療法のほか、性器の切除や形成をする性別適合手術などがある。20歳以上の未婚者で性別適合手術を受けているなどの条件を満たせば、家裁に性別変更を請求できる。当事者は国内に数万人いるとされている。
 長崎県を拠点に活動する性的少数者(LGBT)啓発団体「Take it 虹!」の儀間由里香代表は「手術が戸籍変更の要件になっているのは問題。生殖腺を切らなければ戸籍の性を変更できないことで、本人の性別違和の解消のためではなく、戸籍変更を急ぐあまり不可逆的な手術を受け、後悔するケースも起きている。性的マイノリティーを取り巻く現状は日々変わっている。制度完成当時ベストだった内容が今では新しい障壁を生み出している。現在の当事者の目線になった改良が求められている」と指摘する。


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