海洋産業振興へ 海底探査船ちきゅう“誘致”を 

 国立研究開発法人海洋研究開発機構の海底探査船「ちきゅう」の長崎市への“誘致”を通して海洋産業振興を目指すシンポジウムが23日、同市であった。登壇者からは、長崎が整備・補給の拠点となることをはじめ、最終的には母港となることへの期待も示された。
 船は三菱重工業長崎造船所(同市)での艤装(ぎそう)作業を経て2005年に完成した。全長210メートル、総トン数約5万7千トン。定員200人。地震や資源の調査・研究に活用されており、特定の拠点はない。
 シンポは、地元の海洋産業振興、島おこし団体などの有志でつくる実行委が企画。地域経済活性化に向けちきゅうを「長崎の象徴」(久遠(くおん)龍史・NPO法人長崎アイランズアクト3理事長)にしたい考えだ。
 意見交換会では、登壇者が「長崎には三菱をはじめ協力会社も多数あり(整備・補給への対応は)十分できる」との意見をはじめ、「長崎は歴史的に造船や海底炭鉱など海の恩恵を受けてきた。ちきゅうも長崎にいてほしい」「乗組員や研究者への食事提供などの機能も整っている」といった声が上がった。市民ら約150人が聴講した。

探査船「ちきゅう」を巡って意見交換する参加者=長崎市出島町、県美術館

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