ドラグの主な役割と設定方法
ドラグはスピニングリールにおいて非常に大切な役割の一つ。主にラインにかかる負荷を小さくすることでラインブレイクのリスクを下げる効果があります。
一般的なドラグの設定方法
一般的にはライン強度の1/3程度に設定するのがおすすめ。ライン強度以下の設定にする理由としては、「ドラグからラインが放出する時の負荷」と「メインラインとショックリーダーの結束部分の強度低下」などが、理由として挙げられます。
ドラグからラインが放出する時の負荷
ドラグから急にラインが放出される時、設定したドラグ力以上の力が加わってしまうことがあります。この際の負荷に耐えられるよう、ラインが持つ強度ギリギリの設定にするのではなく、余裕を持ったドラグ設定にすることが必要なのです。
メインラインとショックリーダーの結束部分の強度低下
結び目には、引っ張られた時に最も負荷がかかりやすい場所です。一般的にソルトルアーゲームなどに用いられることの多い結束方法である、FGノットの結束部分は、ライン強度の80%ほどの強度になると言われています。結び方によっては、さらに強度が落ちる可能性もあります。
フッキング、魚とのやり取りでドラグ設定を使い分けることも
先ほどご紹介したように、一般的なドラグ設定はライン強度の1/3程度と言われていますが、対象魚やファイトスタイルなどに合わせて適宜調整を行うことでよりラインブレイクのリスクを下げることができます。
ここではそんなドラグ設定について詳しくみていきます。
フッキングの場合
ラインに負荷がかかることの多いフッキング。対象魚によってはドラグ設定を1/3に設定しないこともあるため注意が必要です。
アオリイカをターゲットにしたエギング、アジやメバルなどのターゲットにしたライトゲームの場合は、フッキングによって身切れしてしまうこともあるため、ドラグ設定はラインの先に力が伝わる緩めのものがおすすめ。
逆にシーバスやバスなどのフッキングが難しい魚やロックフィッシュなどの口が硬めのターゲットには、若干強めのドラグ設定にすることもあります。
魚とのやり取りする場合
ラインテンションが抜けやすい暴れ方をする魚であれば、テンションが抜けにくくするために極力緩めの設定でアプローチするのがおすすめ。
対して根ズレなどのリスクが高いストラクチャー周りで釣りをする場合は、できるだけ強めのドラグ設定にした強引なやりとりが定番です。
ドラグ設定の一例
ここでは一例として、シーバスなどの『強めのフッキング』でしっかり合わせ、やり取りをする際は『ラインテンションが抜けやすい』魚をターゲットにした場合のドラグ設定を紹介します。
ドラグ設定に悩んでいる方は参考にしてください。
- フッキング:ドラグ強め
- やりとり:ドラグを若干弱める
- ランディング:さらにドラグを弱める
人によって違いもあると思いますが、このようにフッキングからランディングまでの一連の流れでドラグ設定を変えていく釣り方をすれば、都度必要なラインテンションをかけて魚を上手に寄せやすくなるでしょう。
安定感と操作性を追求したシマノのドラグシステム
先ほどご紹介したような細かなドラグ設定を思い通りに操作するためには、どのような力の加え方をしても、一定の力でドラグが滑りだす必要があります。
また、ファイト中にアングラーの望むドラグ設定に、すぐに変更できる操作性も重要です。
シマノが発売しているスピニングリールでは、以下のドラグシステムにより、これらの要素をしっかりとカバーできる仕様に仕上がっています。
リジッドサポートドラグ
スプールがふらついてしまうと、どこかに抵抗が生まれ、一定の力でラインを放出することができません。
シマノでは『リジットサポートドラグ』と呼ばれるドラグシステムにより、2個のベアリングでドラグを支え、回転性能の向上とスプールの安定感を実現しました。
Xタフドラグ
大型の青物などを狙う際は通常のドラグよりさらに、安定感を高めたXタフドラグを採用しているモデルもラインナップしています。
『Xタフドラグ』は通常のリジットサポートドラグに加え、金属とカーボンクロスで構成されたワッシャーを採用することで上下両サイドからスプールを支持。
スプールがよりふらつかない構造になっているだけでなく、耐久性や耐熱性の向上も実現しています。
ラピッドファイアドラグ
フッキング、ファイト、ランディングなどのドラグ設定を使い分けるシーンで役立つシステムが『ラピッドファイヤドラグ』。
ドラグノブ1回転あたりに対するドラグ力の調整幅が通常のドラグより大きいため、魚がストラクチャーに対して走り出した時にすぐにドラグを閉める時や、フッキングの後に魚が暴れにくいようにドラグを緩める際に重宝します。
細かなドラグ調整を必要とするシーバスゲームなどにおすすめです。
ハイスピードドラグ
ぶっ込み釣りなど、ドラグを緩めている状態で食わせ、瞬時にドラグを強めてフッキングをする釣りには『ハイスピードドラグ』がおすすめ。
特殊な合金をドラグの座金に採用することで、ドラグノブ1回転の操作でドラグ設定を最小から最大まで調整できるシステムを実現。これにより通常のドラグシステムに比べて、スピード感のあるドラグ設定が可能です。
これらの技術が使われたシマノのリール5選
シマノからは、これらのドラグシステムが搭載されたさまざまなスピニングリールが販売されています。
ショアでのシーバス、投げ釣りはもちろん、オフショアでのキャスティングゲーム、淡水でのトラウトなど、そのラインナップは多岐にわたります。
ここではそんなシマノのスピニングリールの中から厳選した5つのアイテムを紹介します。
ラピッドファイアドラグ搭載機種
シマノから販売されているシーバス専用スピニングリール。シビアなドラグ設定が要求されるシーバスゲームにぴったりの『ラピッドファイアドラグ』が採用されていることはもちろん、CI4+素材による抜群の軽さも魅力です。
XDタフドラグ搭載機種
シマノの名作リールとして語り継がれるツインパワーのSWモデル。海水の侵入を防ぐ堅牢なつくりはもちろん、『XDタフドラグ』による安定感のあるドラグ力はオフショでの大物とのファイトにも安心です。
リジットサポートドラグ搭載機種
過剰なほどの耐久性をコンセプトに作られたツインパワーのニューモデル。主にショアでのキャスティングゲームを想定したリールとなっており、安定かつ滑らかな『リジットサポートドラグ』が採用されています。
シマノの渓流、エリア用トラウト専用リールカーディフ。ドラグワークが釣果に直結するトラウトフィッシングにおいて、『リジットサポートドラグ』による安定感のあるドラグ力は大きな武器になること間違いなしです。
ハイスピードドラグ搭載機種
軽快なキャストが可能な投げ釣り用スピニングリール。投げ用リールとしては抜群の軽量化を実現していることはもちろん、『ハイスピードドラグ』による瞬時のドラグ調整が最大の魅力です。
シマノのドラグシステムは釣果をも左右する
今回は日本を代表する釣具メーカーの一つ、シマノのドラグについて見ていきました。
それぞれのターゲットに合わせた独自のドラグシステムは、フッキング、やりとり、ランディングなどの釣りに関わるさまざまな要素で大きな影響を与えます。
設定を見直し、自分の釣りに合わせたモデルを選ぶことで釣果にも大きく影響を与えますよ!