【平成の長崎】12歳中1を補導、殺害容疑認める 児童相談所へ通告 平成15(2003)年

 長崎市北陽町の会社員の長男(4つ)誘拐殺害事件で、県警捜査本部は7月9日、同市内の中学1年の男子生徒(12)を補導した。少年は、長男を同市三芳町の家電量販店から連れ出し、約4キロ離れた同市万才町の立体駐車場で殺害したことを認めているという。幼児を全裸にし、駐車場の屋上(高さ約20メートル)から投げ落とすという残忍な事件は、12歳の少年が補導されたことで社会にあらためて強い衝撃を与えた。

事情聴取のため稲佐署に入る中1男子生徒を乗せた車=長崎市

 法律に触れる行為をした14歳未満の「触法少年」は、刑事責任を問われない。県警は同日、非行事実を県中央児童相談所に通告、身柄は県警が一時保護した。同児童相談所は10日、長崎家庭裁判所に送致する。
 少年は警察の調査に対して「後悔しています。駿くんのお父さん、お母さんごめんなさい」と反省する言葉を述べたという。
 長男の両親は県警を通じ「なぜ無邪気な子どもの命が奪われなければならなかったのでしょうか。中学生といえども極刑に処してもらいたい心境。一生をかけて、罪を償ってもらいたいと切に願う」とのコメントを発表した。
 捜査本部は、殺害現場から約150メートルの距離にある同市浜町アーケードの防犯ビデオの画像を解析。長男を連れていた男の白い半袖シャツや黒ズボンなど夏用の制服やシャツの胸部分の校章の特徴をはじめ、殺害現場の立体駐車場屋上に残されていた白い運動靴の跡などの手掛かりや、目撃証言などから少年を割り出した。
 少年が長男を家電量販店から誘拐した後、殺害にまで至った動機や、誘拐現場から殺害現場への足取り、犯行の状況などについて詳しく調査していく方針。
 調べによると、少年は1日午後7時20分ごろ、三芳町の家電量販店で、家族の元を離れて一人でゲームコーナーにいる長男を誘い、外へ連れ出した。その後、路面電車で市中心部に移動。誘拐現場から約4キロ離れた万才町の立体駐車場で同9時15分ごろ、屋上から長男を投げ落とし殺害したとされる。(平成15年7月10日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

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