代表でのプレーは名誉なことだと選手たちは口を揃えて言う。
しかしクラブのように長い時間を一緒に過ごすことができないため、超一流の選手であっても適合することのないままキャリアを終えてしまうことも珍しくない。
現在のヨーロッパには複数国籍保持者が多くいる。今回は、もしもう一つの代表を選んでいた場合、国際舞台で今よりも活躍できていたかもしれない選手をピックアップしてみた。
パウロ・ディバラ(アルゼンチン→イタリア)
ユヴェントスの10番を継承しチームを引っ張っているディバラ。ボールに数多く触ってオンザボールで違いを作っていく選手である。
クラブでは中心選手であるためそのプレースタイルでも問題ないが、アルゼンチン代表にはメッシがいる。実際、代表でゴールを決めたのも18試合目だ。ゴールを継続的に決める選手としては満足できる数字ではないだろう。
もし彼がイタリア代表を選んでいれば、もっと違うストーリーを築いていたかもしれない。FWの駒が豊富なアルゼンチンに対し、イタリアは慢性的にその人材が不足している。
二重国籍のディバラにはその権利があった。しかしかつてメッシがかつてそうしたように、彼はアルゼンチン代表を選んだ。
ムニール・アル・ハッダーディ(スペイン→モロッコ)
バルセロナの下部組織出身でファンの期待を背負うアル・ハッダーディ。10代の頃からバルセロナのトップチームに呼ばれ出場も果たしていた彼をスペイン代表が放っておくはずもなく、囲い込み的な意味合いもこめて19歳で招集された。
ただ、そこからは順風満帆なキャリアを歩むまでにはいかなかった。バルセロナのトップチームで継続的にプレーすることができず苦しみ、やっと昨季レンタル先のアラベスで結果を残して復調の兆しを見せている。
しかしスペイン代表で結果を残すまでには達していない。もし彼がモロッコ代表を選んでいたのなら、ワールドカップに出場でき代表でのキャリアは充実していたかもしれない。
ゴンサロ・イグアイン(アルゼンチン→フランス)
レアル・マドリーやナポリ、ユヴェントス等でプレーしそれぞれのクラブでしっかりと結果を残してきたイグアイン。
しかしアルゼンチン代表では大事なところでPKを外したり、ワールドカップの決勝戦で存在感を示せなかったりと、アルゼンチン国民から批判の的にされてきた。
安定したポストプレーとエリア内でのマークの外し方が上手い選手だが、アルゼンチンではメッシがいることでその武器が上手く生かせていない。
もし彼が出生の国であるフランス代表を選んでいればどうだっただろうか。ベンゼマやジルーらがライバルとなるが、ポストプレーができて点を継続的に決められるのは彼だろう。
エメリク・ラポルト(フランス→スペイン)
マンチェスター・シティでプレーするセンターバック。競争が激しいペップ監督の下でレギュラーとしてプレーしており、ボール扱いもさることながら、全てのレベルが高い選手だ。
彼はルーツがバスク人のため、最近までスペイン代表とフランス代表のどちらでプレーするか悩んできた選手だ。結果フランス代表を選んだが、ワールドカップに出ることはできなかった。
フランス代表には実力のあるベテラン選手や有望な若手がたくさんおり、彼が世界的なDFとはいえ安定的に存在感を出すのは難しいだろう。
もし彼が悩んだ末スペイン代表を選んでいたならば、より多くの称賛を得られていたことだろう。
リヤド・マフレズ(アルジェリア→フランス)
今季からマンチェスター・シティでプレーするFW。世界トップレベルの実力を持ち、ストリートサッカーを感じさせるようなイマジネーション溢れるサッカーをする。
“ミラクルレスター”にいた時のように、クラブレベルではそのプレーは存分に生かされているものの、代表レベルではそれが影を潜めている。ハリルホジッチが率いていた2014年にはワールドカップに出場したが、先のロシア大会で母国は出場を逃してしまった。
もし彼がフランス代表を選んでいれば、レ・ブルーに新たなプレーを吹き込むことができ、彼自身も飛躍していたのではないだろうか。