【平成の長崎】火災克服引き渡し サファイア・プリンセス 平成16(2004)年

 三菱重工長崎造船所(長崎市飽の浦町)で建造していた世界最大級の豪華客船サファイア・プリンセス(旧ダイヤモンド・プリンセス、約116、000トン)が完成し27日、船主のP&Oプリンセスクルーズ社(英国)に引き渡された。平成14年10月の火災で船体の約4割を焼損したが、三菱の総力を挙げ約1年8カ月で復旧・建造を果たした。
 同造船所が受注した同型船2隻のうちの1番船として01年6月に起工、02年5月に進水した。火災後、2番船の姉妹船(現ダイヤモンド・プリンセス、2月に引き渡し済み)と名前を入れ替えて建造。当初予定より10カ月遅れの完成となった。
 国内で建造された客船では最大。全長290メートル、幅37・5メートル、水面からの高さは54メートル。客室は1339室あり、最大乗客数は3078人。乗員を含め約4160人を収容できる。
 環境規制の厳しいアラスカなどでの航行を想定し、排煙を低減する最新の発電システムや推進機関、廃棄物処理システムを導入した。
 この日の引き渡し式には関係者約170人が出席。客船は午後3時ごろ同造船所向島岸壁を離れ、長崎港を出発。給油のため横浜を経由し、米国シアトルに向かう。6月13日から初航海のアラスカクルーズに出る予定。
(平成16年5月28日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

造船マンが見送る中、三菱重工長崎造船所を出発するサファイア・プリンセス=長崎港

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