【平成の長崎】グラバー園開園30周年 式典で再興誓う 平成16(2004)年

 長崎市を代表する観光名所「グラバー園」(南山手町)が今年、開園30周年を迎え、4日、同園で市主催の記念式典が開かれた。有料施設となった1958(昭和33)年以降の総入園者数は7224万4221人(7月末現在)。近年、長引く不況などの影響で減少傾向が続いているが、出席者は式典を機に園の再興を誓った。
 同園は57年、市が三菱重工から旧グラバー住宅の寄贈を受け、翌年から有料観光施設として一般開放したのが始まり。70年ごろには、旧リンガー住宅と旧オルト住宅を相次いで取得し、市民や観光客に開放した。
 74年、市内に散在していた旧スチイル記念学校、旧三菱第2ドックハウスなど洋館4棟を移築復元。9月4日に名称を現在の「グラバー園」と改め、長崎観光の顔として本格的なスタートを切った。
 入園者数は長崎「旅」博覧会が開かれた90年の約267万人をピークに減少が続き、昨年は開園以来初めて100万人台を割り込んだ。要因として不況に伴う観光客の減少、団体から個人への旅行形態の変化などが挙げられ、市は施設内のバリアフリー化や夜間開園などさまざまな魅力アップ対策を展開中だ。
 旧三菱第2ドックハウス前であった式典には、市、市議会、経済関係者ら約380人が出席。伊藤市長が「平成18年に開催する長崎さるく博に向け、観光分野でさらに頑張っていきたい」とあいさつ。旧グラバー住宅を寄贈した三菱重工長崎造船所の飯島史郎所長が「三菱にとってもゆかりの深い場所。今後も長崎観光のお役に立てるよう頑張りたい」と語った。
 居留地で活躍した人々の功績をたたえる献花と記念植樹の後、ガーデンパーティーが開かれ、ジャズやバグパイプ演奏で30周年の節目を盛大に祝った。
(平成16年9月5日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

ガーデンパーティーで開園30周年の節目を祝う関係者=長崎市南山手町、グラバー園

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