メドベ選手中傷に「髪の毛逆立った」 タラソワさんらエール

By 太田清

タチアナ・タラソワさん

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦フランス杯女子シングルで、平昌冬季五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ選手(19)が4位に終わりファイナル進出を逃したことは、ロシアでも大きなスポーツニュースとして報じられ反響を呼んでいる。

 浅田真央選手など多くの優秀な選手を育成してきたロシアの名コーチ、タチアナ・タラソワさんは26日までに、ラジオ局「ガバリット・モスクワ(モスクワは話す)」に対し、マスコミやSNSでのメドベージェワ選手への中傷について「(憤慨して)髪の毛が逆立ったわ。獣が生身に襲い掛かっているよう」と激しく批判した。

 タラソワさんは「どうして(エテリ・トゥトベリゼさんと)袂を分かったか、どうして(ブライアン・オーサー・コーチの元に移籍するため)国を去ったか、何がわかるっていうの。これは本当の中傷よ」と語った。またスポーツ通信社「エル・スポルト」が「メドベージェワの悪意に満ちた視線」との記事を掲載したことについて「どこが悪意に満ちた視線なの。残念だけど、彼女の視線は(ジャンプの失敗で)ぼうぜんとしていたわよ」とも指摘した。

 長年、金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手らとともにロシアの著名女性コーチ、トゥトベリゼさんに師事していたメドベージェワ選手は今シーズンから、同コーチの元を離れ、羽生結弦選手を指導するカナダのオーサー・コーチの元に移籍。これに対し、ロシアのファンから「コーチを、祖国を裏切った」との批判が相次いでいた。

 2006年トリノ冬季五輪男子王者で、羽生結弦選手も目標としたエフゲニー・プルシェンコさんもインスタグラムに「今日は応援するけど、明日選手がつまずいて失敗したらすぐに打ちのめす人たちがいる。僕も何度もこうした挫折を体験してきたけど、そのたびに立ち上がりまた戦いに向かった」に書きこみ、メドベージェワ選手にエールを送った。

 1999年の世界選手権女王、マリア・ブッテルスカヤさんはスポルト24に対し「ひらひら舞う蝶のような彼女のジャンプを見慣れてきたけど、今はほころびが見える。もしかしたら体重が増えすぎたのかもしれない。少し太ってジャンプも重くなった」と、メドベージェワ選手の体重増が不調の原因の一つとの見方を示した。 (共同通信=太田清)

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