横浜アパート殺人、被告が正当防衛主張 「防戦しただけ」

 横浜市中区のアパート敷地内で1月、住人の男性=当時(63)=が刺殺された事件で、男性の元妻の弟で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた清掃業の男(36)の裁判員裁判が26日、横浜地裁(田村政喜裁判長)で始まった。被告は「相手が殴り掛かってきたので、防戦しただけ」と殺意を否定し、正当防衛を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、被告が姉や男性と長年にわたって金銭トラブルを抱え、怒りを募らせていたと指摘。男性が殴り掛かった事実を否定した上で、「ナイフを用意して予告なく被害者宅に行き、一方的に致命傷を負わせた」と経緯を説明し、正当防衛が許容される緊急性はなかったとした。

 弁護側は、やむを得ず肩を刺しても男性が攻撃をやめなかったと反論。「身を守ろうと護身用のナイフで応戦し、腹や足を刺してしまった」と述べた。

 起訴状などによると、被告は1月4日夜、同区のアパートで、住人の男性の左腹部などをナイフで突き刺すなどして殺害した、としている。

横浜地裁

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