どうする老朽公共施設 現状・課題共有、計画策定へ 南足柄市が市民と懇談会

 老朽化が進む南足柄市内の公共施設の在り方を考える、市民対象の懇談会が22日から、市内四つの地域で順次、開かれている。厳しい財政事情を抱える中、市長と住民が現状と課題を共有し、維持費などを先送りにしないための方策を共に考えるのが狙い。市は来年2月にシンポジウムも開いた上で、市民らの意見を踏まえ、2019年度に再編計画を策定する。 

 市によると、市内の公共施設は小中学校や公民館など計153。その7割が築30年以上たち、同じ時期に一斉に耐用年数を迎えることが予想される。今ある施設をそのまま維持した場合、今後40年間で必要になる財政支出は道路などのインフラも含めると1774億円に上ると推定される。

 1回目の懇談会は22日夜、内山公民館で開かれ、北足柄地区の住民約30人が参加した。

 市企画課の担当者が少子高齢化と財源不足で、今ある公共施設すべてを維持することは困難と説明。次世代に負担を持ち越さないためには総量を減らし、残す施設を長寿命化させる必要があるとし、多機能化などの事例と「新たな街をデザインする」との発想の転換を促した。

 また東海大特任教授の杉本洋文さんが再編の考え方として、中心市街地に住民を集める欧米型の都市と異なり、日本は点在する集落ごとに拠点を作る方がなじみやすいと指摘。東北の被災地でコミュニティー再生のため建設されている木造の公共施設を紹介し、用途に応じて修整できる木材の良さを説いた。

 参加した男性(65)は「事業の選択と集中、公共施設の多機能化、複合化は非常に大切と感じた」と話し、「地域の個性、存在感を大切にして対応してほしい」と市に要望した。

 懇談会は今後、28日に南足柄地区(市役所5階会議室)、12月5日に岡本地区(岡本コミュニティセンター)、6日に福沢地区(千津島公民館)で開催する。時間はいずれも午後7時から8時半まで。問い合わせは市企画課電話0465(33)8314。

公共施設の役割について解説する東海大特任教授の杉本さん=22日夜、内山公民館

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