テレワーク積極活用を 豊かな生活へ研究会発足 官民で実証実験、啓発活動 鎌倉

 情報通信技術(ICT)を使って職場以外の自宅や出先で働く形態「テレワーク」を普及するため、鎌倉市と民間企業の社員らが27日、「鎌倉テレワーク・ライフスタイル研究会」を設立した。電車で都内に通勤するケースが多い市民のライフスタイルを転換し、ゆとりある暮らしや地域活動の充実を目指す。市内で同日、発足式が行われ、約330人が出席した。

 

 研究会は市に登録した個人会員約300人で構成。会長は置かず、会員が勉強会や実証実験、啓発活動に取り組む。テレワーク勤務を推奨、実践する「推進企業宣言」を行った法人会員を募る当初の方針は取りやめ、個人組織に改めた。

 研究会は、テレワークの推進により▽都内などへの通勤回数を減らし、鎌倉で新たなライフスタイルを確立する▽デジタル技術の発展やコワーキングスペースを誘発し、テレワーカーが働きやすい環境を整える▽東京一極集中から湘南・三浦地域に新たな経済圏を形成する-などを目指す。

 仕事と、子育てや介護との両立しやすい環境や、お年寄りや障害者の社会参加の拡大にもつなげたい考えだ。会員向けには、市内のシェアオフィス5カ所を割引料金で利用できるプランも用意した。

 発足式で、松尾崇市長は「例えば東京に週5日、満員電車で通勤するのは心身ともに疲れる。企業に健康経営が求められる中、まずは通勤形態から改めるべき。テレワークの積極的な活用で通勤形態だけにとどまらない変革を促し、人々の生活を豊かにしたい」とあいさつした。

 識者の講演やパネル討論も行われ、テレワークの実践例が報告された。職場として使う自宅の光熱費などを織り込んだ「テレワーク手当」を社員に支給する会社の取り組みなどが紹介された。

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