俺の介護

 「俺のプリン」というスイーツが以前コンビニで販売されていた。「俺の~」というネーミングは、女性向けというイメージの商品に男性客の目を向けさせる手段の一つだ▲では「俺の介護」という言葉はどうだろう。今や男性が親の介護に真剣に目を向ける時代だ。長崎大で先日開かれたワークショップの名称は「親の介護、『俺には他人事』?」▲介護が必要になった同居の親について、子世代の誰が主に面倒を見るか。厚生労働省の調査によると、2010年ごろまでは息子の妻である「義理の娘」が最も多かったが、減る一方。16年は僅差で「娘」「息子」「義理の娘」の順番になった▲息子が独身であろうと既婚であろうと、定職に就いていようといまいと、親の介護は同じようにのしかかってくる。実際多くの息子たちがその役割を引き受けている▲ただ、息子は娘に比べ「親はまだ大丈夫」と考える傾向があるという。周囲に相談せず自力で対応しようとする男性は多い。認知症の親の問題行動に懸命に向き合った結果、つい力で押さえ込んで虐待になってしまう不幸な例も▲介護は家族だけでなく社会全体で担うものだ。そのために介護保険による公的サービスがある。息子による「俺の介護」は、「俺たちの介護」に変えていく必要があるのだろう。

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