日立金属、高耐食ニッケル基合金の金属粉末化に成功 積層造形向け量産へ

 日立金属は27日、高耐食ニッケル基合金「MAT21」の金属粉末化と金属積層造形に成功したと発表した。半導体製造装置や化学プラントなど高耐食性が要求される部材で積層造形によるニアネットシェイプ化が可能となり、信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。粉末のサンプル出荷を始めており、顧客の認定取得が進めば2019年度に粉末の本格量産を開始する。

 MAT21は約20年前、日立金属・桶川工場(当時は三菱マテリアル・桶川製作所)が開発したニッケル基合金。高耐食ステンレスのSUS316Lより100倍以上の耐食性を示すが、加工難度が高いため切削加工では生産性に課題があり、鋳造では複雑な形状が得られる一方で合金成分を均質化することが困難だった。

 日立金属は安来工場で真空ガスアトマイズ法を用いて金属粉末化に成功。その粉末をグローバル技術革新センター(GRIT)の3Dプリンタを用いて積層造形し評価した結果、鍛圧材と同等の耐食性を持ち、かつ強度と硬度は鍛圧材より優れることを確認した。

 金属積層造形ならではの自由な設計や周辺部品との一体化、ニアネットシェイプの提供が可能になるため、半導体製造装置や化学プラント用部材の信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。

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