札幌岳|初~上級者まで楽しめる多彩な登山コースが魅力!山頂からは蝦夷富士も 札幌から約1時間。市内からも気軽に行けて山頂からの眺望も良いため、人気の札幌岳。その名の通り、札幌市内を一望できます。また、市内で1,000m級の縦走が出来るのはココだけとあって、一年を通して多くの登山客で賑わいます。実にバラエティ豊かなコースがあり、メインの冷水コースは初心者でも登れるコース。一方空沼岳との縦走は距離も長く上級者向け。幅広い登山者が楽しめるのも人気の一つです。今回は3つのコースや注意点などを紹介します。

札幌市内を一望!札幌岳(さっぽろだけ)

  • 標高: 1,293m
  • 山頂所在地: 北海道札幌市南区
  • 最高気温(6月-8月): 18.2℃
  • 最低気温(6月-8月): 3.7

参考:ヤマレコ
札幌岳は、支笏洞爺国立公園に属している定山渓温泉の南に位置する山。市内を流れる豊平川上流にある札幌岳は、明治以前、豊平川がアイヌ語で「渇いた大きな川」を意味する”サッ・ポロ・ペツ”と呼ばれていたことから、札幌岳と呼ばれるようになりました。
山頂からは札幌市内や周囲の山々を一望できる大展望が広がる札幌岳。コースによって難易度が変わるため、初級者から中・上級者まで幅広い登山者が楽しむことができます。秋には紅葉の景色を楽しみに多くの登山者が訪れる、札幌市を代表する人気の山の一つです。

札幌から約1時間!市内を一望できる山頂

札幌岳は市内から約1時間と好アクセスで、手軽に絶景が楽しめるのが特徴。山頂からは北海道の名峰の一つでもある羊蹄山や尻別岳など、遠方の山々を見渡せ、札幌の街並みも一望することができます。市内から少し移動するだけで北海道の自然を楽しむことができるため、初心者からベテランにまで人気です。

マイナスイオンたっぷり!

札幌岳には、カラマツが密集した台風高原と呼ばれるエリアがあります。もともとは針葉樹林が自生していたのですが、1954年の洞爺丸台風で多大な被害を受けたため、マツが植林されました。この高木のカラマツ群は札幌岳の特徴の一つであり、夏は日光を遮るため涼しい山歩きを楽しむことができます。

札幌岳の登山適期は?

札幌岳の登山適期は6月から10月とされています。しかし雪が長く残る事もあるため、事前の確認が必要。
初夏にはオトギリソウやゴゼンタチバナなどの植物が咲き、紅葉の見頃である10月には登山道がオレンジや黄色に染まった落ち葉の道に。四季によって表情が変化するところも札幌岳の魅力です。

札幌岳登山の注意点

市内から近距離の位置にあり、気軽な登山も楽しめる札幌岳。登山の際はウェアや服装などに気をつけるとともに、ヒグマや虫などにも注意する必要があります。

①ヒグマの目撃情報あり

(ヒグマの目覚め)

北海道の登山で最も怖いのがヒグマとの遭遇。後述する豊滝コース付近でもヒグマの目撃情報が出ています。事前に出没情報を集めたり、登山中に手を叩いて音を出したりして、しっかり対策するようにしましょう。

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②沢沿いコースのため、虫除け必須

(虫よけスプレーをする甚平姿の男性手元)

沢沿いを通過する札幌岳のコースでは、虫対策が必須。特に夏場は虫が多く、山頂付近もアブが発生するなどの情報があるので、虫除けスプレーを忘れずに持つようにしてください。
また、雨が降ると増水する可能性があるため、必ず天気もチェックしましょう!
てんきとくらす(札幌岳の週間天気)

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③登山口にはトイレがありません

出典:PIXTA(公衆トイレの看板)
札幌岳には2つの登山口がありますが、どちらもトイレはありません。そのため到着前に済ませておくか携帯トイレを持参するようにしましょう。携帯トイレは常備しておくと登山中にも使えて便利です。

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④一部不明瞭な場所も!地図・GPSは必ず準備!

コースによってはわかりやすいですが、一部藪漕ぎなど不明瞭な場所も多い札幌岳。地図はもちろんの事、GPSアプリも一緒に準備しましょう。

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⑤沢沿いを歩く札幌岳。事前に天気はチェックした?

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【メインコース】台風高原を通る冷水コース

冷水コースは際立った難所もなく、日帰りができるため初心者にもおすすめ。川や水場も通過する夏向きのコースは、しっかりした木造建築の冷水小屋やカラマツ林が並ぶ台風高原が見どころです。

  • 距離: 10.8km
  • コースタイム: 5時間50分
  • 日程: 日帰り
  • 難易度: ★★☆☆☆

参考:ヤマプラ
冷水登山口(60分)→林道横断(50分)→冷水小屋(90分)→札幌岳

冷水コース登山口には小屋があり、登山届けは小屋内のポストで提出することが可能。登山口の両脇には目印になる看板が立っています。整備された登山道から登山スタートです。

道幅はあまり広くないですが、迷うこともなく歩きやすい登山道。台風高原のカラマツ林は一際存在感があり、登山者の目を楽しませてくれます。涼しげな川の音を聞きながらの森林歩きです。

台風高原からしばらく進むと見えてくるのが、渡渉ポイント。冷水コースには渡渉箇所がいくつかあります。川には木の板がかかっていますが、水しぶきや雨で濡れていることもあるので足元に注意して進みましょう。

川を渡り、再び森林浴を楽しみながら歩いていくと冷水小屋に到着。この小屋は開館時期が限られているため、利用する場合はかならず事前に確認しましょう。

冷水小屋を出発すると、急登が始まります。登山道は比較的わかりやすい道ですが、木の根が出ていたりぬかるんでいる場所もあるため、足元には注意して登っていきましょう。急登を登りきって尾根に出ると一気に視界が開けるので、そこまでの辛抱!

山頂は札幌岳周辺の山々を一望できる絶景スポット。羊蹄山や無意根山、中山峠など、周囲の山々の姿が一面に広がります。運が良ければ雲海の中に佇む手稲山の幻想的な情景も見る事が。夏には青空と山一面を覆う深緑が、秋には紅葉を楽しむことができます。

冷水小屋

冷水小屋は標高900mにある、北海学園大学が管理する建物。一度は火災で消失しましたが、昭和27年に再建されました。利用期間は限られているので注意が必要です。

住所:北海道札幌市南区定山渓
電話番号:011-841-1161(北海学園大学 豊平キャンパス)
定員:30名
営業期間:1月1日〜10月31日までの第1・3土曜と日曜

【ルート注意】藪こぎに挑戦!豊滝コース

藪こぎを必要とするエリアや林道歩きがある豊滝コース。登山道には多数の目印がありますが、藪が高い場所では注意が必要。さらに林道終点からは長い急坂となるため、しっかりと体調を整えた状態でチャレンジすることをおすすめします。

  • 距離: 10.5km
  • コースタイム: 6時間25分
  • 日程: 日帰り
  • 難易度: ★★☆☆☆

参考:ヤマプラ
豊滝登山口(35分)→盤ノ沢(45分)→林道終点(140分)→札幌岳

登山口には車両通行不可のゲートが設置されています。駐車場はゲート前にあるため、車はここに停めておきましょう。静かな林道歩きからスタートです。

緑が生い茂った登山道。森の静寂な雰囲気を味わいながらの林道歩きです。林道跡やオオカメノキなどの花々を楽しみにながら進みましょう。

スタートから小一時間歩いていくと、林道終点を知らせる看板がお目見え。ここから本格的な登山道がスタートします。急登や渡渉ポイントも出てきますが、川幅はそれほど広くないので、急がず慎重に渡れば問題ありません。

空沼岳縦走路との合流地点に着くまでは、しばらく登りの道。木々に覆われて夏でも比較的涼しいコースですが、木々の隙間から日が差すと暑くなるため、衣服の温度調節やこまめな水分補給を忘れずに。登山道にはエンレイソウやエゾノリュウキンカなど可愛らしい植物が咲いています。

急登を進み合流地点が近づいてくると、道はいよいよ藪こぎゾーンに。登山道には倒木が転がっていることもあるため、足元にも注意してください。

縦走路との合流地点まで来れば、山頂まではあと一息。この先も藪漕ぎは続きますが、時折見える青い空やハクサンチドリなどの植物は心を癒してくれる存在です。山頂からの展望を楽しんだ後は来た道を戻って下山します。

【中・上級者】空沼岳~札幌岳の縦走コース

札幌岳の縦走コースは、藪こぎの連続。登山道は整備されておらず、背の高い笹がコースを塞いでいます。道は不明瞭で、過去には遭難事故も発生しているので注意が必要です。距離も長いため、登山計画を立てる際は、早朝出発か1泊2日をおすすめします。

  • 距離: 20.5km
  • コースタイム: 10時間45分
  • 日程: 日帰り
  • 難易度: ★★★☆☆

参考:ヤマプラ
空沼登山口(120分)→万計沼(110分)→札幌岳分岐(20分)→空沼岳(125分)→ヒョウタン沼(160分)→札幌岳

縦走コースの登山口は、日鉄鉱業(株)常盤採石所の敷地内を通過し、橋を渡った先にあります。平地から約1km歩くと丸太小屋が見えてくるので、登山前の記帳はそこで行いましょう。

(万計山荘)

登山口をスタートした後は、ひたすら緑に覆われた道を進んでいくことになります。途中にある渡渉箇所には角材の橋がかかっていますが、隙間があるため踏み外さないように注意してください。しばらく歩くと万計沼に到着です。

(空沼岳)

万計沼から進んで、標高1,000m付近まで来ると真簾沼が見えてきます。基本的に沢沿いや沼の周りを歩く登山道のため、天気によっては道がぬかるんでいることも。空沼岳山頂は視界良好で、晴れていれば目の前に雲海が広がることもあります。

空沼岳以降は、いよいよ核心である笹薮エリア。道によっては多少整備されている所もありますが、藪こぎは避けては通れません。稜線の北と東側は急斜面となっているので移動は慎重に。

ルートを見失わないように注意して藪こぎを進めていくと、空沼岳と札幌岳の中間にあるひょうたん沼に到着。運がいいとシカなどの野生動物を水辺で見ることができます。少し一息ついたら、再び藪との戦いです。

連続した藪こぎが続く縦走コースは、腕を酷使するため体力を消耗しやすい道。疲れが溜まると集中力も落ちるため、ルートを見失ったときは、現在地を確認するなど落ち着いて対処するようにしましょう。

長い藪こぎを経て分岐に近づくとルートも少し明瞭に。分岐手前からは札幌岳を目視できるので、ちょっと一安心かもしれません。疲れた体を奮い立たせて、ラストの急登を超えると札幌岳山頂に到着です。

▼空沼岳についての詳細はコチラをチェック!

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札幌岳は冷水コース以外は不明瞭な登山道も多数箇所も多いため、必ず地図・GPSアプリは準備しましょう。

札幌岳へのアクセス方法は?

多彩なコースが存在する札幌岳へは、マイカーと交通機関を使ってアクセスすることが可能。冷水登山口へは車とバスで、豊滝登山口へは車で行くことになります。登山口によってアクセス方法が変わるため、交通手段からコースを選ぶのもいいかもしれません。

冷水登山口へのアクセス

【車の場合】
札幌市内→国道230号→冷水登山口(約1時間)
【バスの場合】
札幌→定山渓温泉直行便『かっぱライナー号』→豊平峡温泉

豊滝登山口へのアクセス

【車の場合】
札幌市内→国道230号→冷水登山口(約1時間)

一緒に行きたい”豊平峡”

札幌岳を訪れた際に、ぜひ一緒に行きたいのが豊平峡。観光からグルメまでを楽しめるこのエリアは、メディアでも紹介されるほど札幌屈指のレジャースポットです。まだ行ったことがないという方は、これを機に足を運んでみるのもおすすめ!

豊平峡ダム

(豊平峡温泉)

豊平峡ダムは、美しい紅葉が見られる景勝地。急峻な岸壁に囲まれたダムは、6月から10月にかけてダイナミックな観光放流を行なっています。秋登山の際は合わせて行っておきたいスポットです。

一面色づく豊平峡温泉の紅葉

(紅葉時季の豊平峡温泉)

源泉100%かけ流しの豊平峡温泉は、日頃の疲れを癒すのにぴったり。ロケーション抜群の温泉は、車やバスを使って市内からも簡単にアクセスできるため、登山者から観光客にまで愛されています。

名物のインドカレー

温泉のイメージが強い豊平峡ですが、本場のインドカレーが食べられることでも人気。数十種類のスパイスを使用したカレーは味わい深く、特製セラミック釜で焼いたナンは、ふわふわもちもちの食感です。

豊平峡温泉のインドカレー料理はこちらでチェック

サクッと登山から縦走までが楽しめる札幌岳

(札幌 空沼岳山頂と周辺の山々)

札幌岳は市内からのアクセスも良く、体力やレベルに合わせたコース選択ができるため初心者から中上級者までが楽しめる山。台風高原のカラマツ林や藪こぎは札幌岳の特徴であり、山頂からの眺望も抜群です。夏は涼しげな川の音や森林浴が楽しめ、秋には紅葉が広がる札幌岳に、ぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか?

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

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