未来のヒーローがここに爆誕! GPリーグ1都3県決勝大会レポート

2018年9月22日、埼玉県の商業施設「ららぽーと新三郷」で小学生たちがプログラミンの技術を競うイベント「GPリーグ」の決勝大会が行われました。ここではその様子をレポートします。

GPリーグとは

2017年にスタートした、小学生たちがプログラミングの技術を競うイベント「GPリーグ」。2017年には千葉県のみで県大会が開催されましたが、2018年は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に規模が拡大。各地域で予選を通過した代表の5チームが2018年9月22日、埼玉県の商業施設「ららぽーと新三郷」に集まり、「GP リーグ ヤマハ発動機プログラミングコロシアム 1 都 3 県決勝大会」で対決しました。

千葉県代表:サイバープロ チーム(幹事校:千葉工業大学)
東京東地区代表:NAKANO チーム(幹事校:早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所)
東京西地区代表:EXGP チーム(幹事校:東京工科大学・日本工学院八王子専門学校)
神奈川県代表:ウォーターベリー チーム(幹事校:神奈川工科大学)

競技は全部で4種目。表現力を競う「Scratch対決」、アルゴリズム〇〇能力が試される「MakeCode対決」、ドローンの制御を行う「ドローン対決」、Finalバトルステージはプログラミングでアクションゲームを進める「HackforPlay対決」です。最初の3種目は各チームの代表1名が参加する個人戦、最後は団体戦で、総合ポイントで優勝が決定します。

Scratch対決

1stバトルステージでは、「Scratch」というプログラミング言語で、与えられたお題をどれだけうまく表現ができるかを競います。今回のお題は「運動会」で、Scratchのキャラクターを使って表現する選手が多く見られました。2匹のキャラクターが徒競走で勝負する物語を組み立てた選手が2名、玉入れで勝負する様子を描いた選手が2名。そして最後の1名は、2人の棒人間が綱引きする様子をプログラミングで表現していました。

審査員からは「デザインがよい」「オチがしっかりしていて、脚本がいい」「プログラミングが短くてうまい」など、それぞれのいい部分が出ていたと評されるなか、高い評価を受けた選手が。この選手はなんと、15分という短い時間のなかでゲームを作ってしまったのです。スペースキーを押すと、片方の棒人間が綱を引き、一定のラインまで引っ張ると勝ちという内容のゲームでした。

審査員からも、「彼はもう立派なゲーム制作者。シンプルなゲームがヒットすることもあるので、ぜひゲームを作り続けてほしい」と絶賛されていました。

MakeCode対決

2ndバトルステージは人気ゲーム「マインクラフト」の世界で、プログラミングでアバター(自分に見立てたキャラクターのこと)を動かしてゴールを目指すという種目です。今回の課題は、溶岩が敷き詰められ3つの部屋に、ブロックを置くことで道を作ってゴールを目指すというもの。まずは10分間でステージを見渡しながらプログラミングのコードを書く。そして次の10分間では、実際にプログラムを動かして、ゴールを目指すという時間配分です。

実際に動かしてみると、アバターが登れない高さの階段を作ってしまったりと、思ったとおりにいかない箇所が出てくるため、随時修正をしながらゴールを目指していました。それぞれの選手が四苦八苦するなか、最初の15分では1人だけが早々にコードを書き終えて余裕の表情を見せていました。そしてその選手は、ダントツの速さでゴール。

ドローン対決

3rdステージでは、事前にプログラミングしたコードで、ドローンの動きを制御。障害物を通過して、ゴールのフラフープ内に着地することを目指します。規定の回数だけドローンを飛ばして、ゴールに着地できた回数に応じて点数が加算されます。

実際にドローンを動かす様子は誰が見てもわかりやすいため、選手を応援しにきた親御さんや観戦者たちもドローンの動きに一喜一憂。ドローンがゴールに到着した瞬間、我が子の成功で涙を流して喜ぶ母親の姿も見られました。

現場を担当していたヤマハ発動機の技術者も「非常にレベルが高い戦いだった」と語ります。

「今回使用したドローンは小型ですが、基本的な性能は実際の現場で使うものと変わりません。安定して飛行させることは難易度が高く、とくに着陸寸前はダウンウォッシュで不安定になるため、その対策が難しい。優勝チームの選手は、成功させた際に、着陸寸前に向きを少し変えていた。これが計算だとすると非常に素晴らしいです」

HackforPlay対決

Finalバトルステージでは、「HackforPlay」というゲームを、チーム4人がリレー方式で進めていきます。プログラミングでゲームのキャラクターを動かして、敵を撃破してステージを進める。ステージの数は4つで、最後に近づくに連れて難易度はアップ。

今回は、人気作品「ロックマン」とコラボしており、ゲーム中でロックマンを召喚、敵を攻撃することができます。さらに「ロックマン」シリーズでお馴染みの技や敵キャラも出演。ゲーム好きにとってはニヤリとできる仕様となっていました。

リレー形式のため、1人だけが早くクリアしても、ゴールとはなりません。あるチームでは、ステージ3までを最速でクリアしながら、最後の1人がつまずいてしまい、優勝を逃して涙を流す場面もありました。

優勝は埼玉代表「PCファイターS」

大会は、埼玉県代表「PCファイターS」の優勝で幕を閉じました。優勝チームの選手2人の両親に話を聞くと、「正直、子どもたちがなにをやっているのか、なんに役立つのかはわからないけど、友だちと楽しそうにしているのは応援したい」「学校の運動会ではてんでダメだけど、こういった活躍の場があるとうれしい」と話したのが印象的でした。

大会終了後、「HackforPlay」の開発者である寺本大輝さんと名刺交換をしたのですが、その最中に参加していた小学生たちが「ぼくも名刺がほしい」とねだる一幕も。寺本さんの名刺のウラにはとあるプログラミングのコードが書いてあったのですが、1人の小学生がそのコードを見るやいなや「…このコード、動かないんじゃない?」と質問。寺本さんもすかさず「なんでそう思ったの?」と逆質問し、プログラマー同士の会話が始まっていました。

小学生といえども、この参加者たちはすでに立派なプログラマーなのだと、あらためて実感できる光景でした。この「GPリーグ」という大会の開催目標のひとつが、スティーブ・ジョブズのような、未来のヒーローを生み出すことだと言います。その目標が叶う日も遠くないのかもしれません。

GPリーグヤマハ発動機プログラミングコロシアム2018 ウィンターシリーズ

・静岡県大会
日程:予選12月8日(土)、決勝12月9日(日)
会場:静岡大学 浜松キャンパス 特設会場

・大阪府大会
日程:予選12月22日(土)、決勝12月23日(日)
会場:大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス 特設会場

・広島県大会
日程:調整中
会場:調整中

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