カネミ油症被害者の診療に長年当たっている武田玲子・クリニック玲タケダ院長(東京)が29日、長崎市上戸町4丁目の上戸町病院であった学習会で講演。ダイオキシン類など原因物質の血中濃度に主眼を置く油症認定の基準について「(体内の脂肪などの状況で)変化する血中濃度だけを“科学的”とするのは恐ろしい間違い」と批判した。
武田院長は、五島市奈留島での健康調査などを基に、出産経験がない女性患者より出産経験が複数回ある患者の方がダイオキシン類の血中濃度が低い傾向にあることを説明。「ライフヒストリーが影響する血中濃度によって、汚染油を食べた食べてないと決めるのはおかしい」とした。
また、「一部の歯が生えないなど、歯の異常をよく聞く。数値的に調べる必要がある」と指摘した。
諫早市在住の認定患者、下田順子さん(57)は出産時の経験などを講話。「いつも体がきつい。それが普通。健康な状態がどんな感じか分からない」とし、わが子も同様の状況とした。
学習会は医療従事者向けで、約30人が聴講した。
血中濃度重視の基準批判 武田医師が講演 歯の異常も調査必要
- Published
- 2018/11/30 09:26 (JST)
- Updated
- 2021/01/10 15:22 (JST)
© 株式会社長崎新聞社