PSA、小型バンを欧州トヨタにOEM供給、トヨタブランドで販売へ

TPCAコリン工場:チェコ トヨタとPSA、欧州での新たな協業関係に合意

トヨタとPSAが欧州での新たな協業関係に合意

トヨタとPSAは2018年11月30日、欧州での小型商用車のOEM供給や、2002年に設立した小型車生産の合弁会社トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(以下、TPCA)の運営において、新たな協力関係の構築で合意したことを発表した。

トヨタの欧州統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(以下、TME)とPSAは、2012年より、欧州にて小型商用車の分野でも協力体制にある。PSAは、プジョー「エキスパート」およびシトロエン「ジャンピー」をベースにした小型商用車「プロエース(PROACE)」をフランスにあるオルデン工場で生産し、TMEにOEM供給。さらに今後は、PSAからTMEに、PSAのビーゴ工場(スペイン)で生産された小型バンの供給も2019年末より開始する。

今回の関係強化の目的は、欧州において両社それぞれの強みを活かし、小型車のみならず、小型商用車も提供することで開発や生産コストを最適化し、互いにその恩恵を享受すること。TMEは、今回の小型バンの開発費や設備投資について応分の負担をする。

TPCAの完全子会社化で欧州におけるトヨタ8拠点目の工場に

TPCAコリン工場:チェコ トヨタとPSA、欧州での新たな協業関係に合意

TPCAについて、PSAが保有するTPCA株式の全株式をTMEが取得し、2021年1月からTPCAはTMEの完全子会社となる。これは、トヨタとPSAが2002年に締結した小型車共同生産の合弁契約に含まれていた、持ち株比率見直しに関する条項に基づくものだ。

TPCAでは、欧州市場向けに開発されたエントリーレベルの小型乗用車「トヨタアイゴ(Aygo)」、「プジョー108」、「シトロエンC1」を生産。今後も同モデルの生産を継続し、生産と雇用は維持する予定で、TPCAのTME完全子会社化により、TPCAはトヨタの欧州における8拠点目の工場になる。

トヨタのディディエ・ルロワ副社長は、「このたびの新たな協力関係は、PSAとトヨタ、両社間における良好な関係に基づくものです。この合意を通して、両社で技術と開発費を分担しながら、それぞれが強みを活かすことができます。また、TPCAの完全子会社化は、当社の基本的な考え方である『販売するところで生産する』および、長期にわたる我々の欧州でのプレゼンスを象徴しています」と語る。

そして、PSAのカルロス・タバレス会長は、「今回の発表は、両社の良好でかつ、互いに有益なパートナーシップの新しい幕開けです。これは、お客様や両社にとって、最善となる信頼関係に基づくものです」と語っている。

2019年の登場が噂される新型ハイエースが、シトロエン「ジャンピー」(日本未導入のミニバン)をベースにした小型商用車「プロエース(PROACE)」に近い姿になるという見方もありに、今後の動向に注目していきたいところだ。

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